米台の相互関税交渉は継続中であり、TSMC(台湾積体電路製造)が半導体関税の免除を受ける可能性が高まっている一方、税率の「重複適用」が再び世論の注目を集めている。これについて、中華経済研究院の連賢明院長はフェイスブックで4つの見解を示し、韓国ですら対米投資を3,500億米ドル(約54兆円)に引き上げても「非重複適用」の条項を得られなかったと指摘。「台湾はまだ交渉の半ばで非重複が適用されるのだから、韓国大統領は泣き崩れるのではないか」と述べた。
連院長は、ようやく半導体関税に関して台湾に楽観的な兆しが見え始めたにもかかわらず、ここ2日ほどで再び「相互関税になぜ非重複条項が盛り込まれないのか」という議論が起きていると指摘。「第一に、相互関税の原則は重複適用であり、非重複は例外である」とし、これまで交渉で非重複条項を勝ち取ったのは欧州連合(EU)と日本のみだと述べた。
連賢明氏は、台湾の現在の税率はあくまで「暫定」であり、つまり交渉はまだ終わっていないため、当然ながら原則が適用され、例外が適用されるはずはないと指摘した。「韓国ですら対米投資を3,500億米ドル(約54兆円)に引き上げても非重複条項を得られなかったのに、台湾が交渉半ばで非重複条項を適用されるとなれば、韓国大統領は泣き崩れるだろう」と述べた。
さらに氏は、第二の点として、一部で政府交渉チームの能力を批判する声があることに触れ、台湾の貿易交渉は野球の試合に例えられると述べた。中華代表が試合に出るたび、ネット利用者は「どの投手や打撃戦略なら勝てる」と断言し、まるで監督以上の知恵者のように振る舞う。前回のWBC予選では、ネット上で監督の采配ミスがスペイン戦敗北の原因だと批判が殺到したが、最終的に逆転勝利すると、多くの人々がチキンカツを買って祝った。氏は、政権が国民党であれ民進党であれ、貿易交渉に派遣されるのは同じ人々であり、幕僚も中経院や台経院の面々で、政党の違いはないと強調した。
連賢明氏は、第三の点として、多くの人が「交渉がブラックボックス化している」「なぜ事前に国内へ知らせないのか」と不満を漏らしていることに触れた。連氏は「個人的には貿易交渉には国内の幅広い参加が望ましいと考えるが、トランプ氏は意図的に貿易交渉を透明化しにくくしている」と述べた。貿易交渉に詳しければ、通常の交渉は年単位で進められ、最終合意に至るまで双方が契約書を何度も確認し、署名後に双方の解釈が食い違うことはないと理解できるはずだと説明した。
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しかし、トランプ氏が進める相互関税交渉は日単位で行われ、90日で100か国以上と交渉するという。氏によれば、その手法はまず極めて高い関税率で威嚇し、相手が驚いたところで比較的受け入れ可能な対案を提示し、短期間で受諾の可否を迫るというものだ。日米交渉を例に挙げると、日本側は米国に7回赴いても成果はほぼなく、第8回目に突然ホワイトハウスの大統領執務室に通され、トランプ氏が対米投資額を4,000億ドル(約62兆円)から5,500億ドル(約85兆円)へ引き上げるよう求め、その場で日本の首相・石破茂氏に電話をかけ、即決を迫られたという。