中国外交官が「首を斬る」発言、日本で批判が噴出 SNSではビザ取消・資産没収の未確認情報が拡散 事実確認報告が経緯を再現

2025-11-15 17:18
中国駐大阪総領事の薛劍氏が日本の首相である高市早苗氏(写真)に対する「斬首」発言を行い、国際的な衝撃を与えた。(写真/AP通信)
中国駐大阪総領事の薛劍氏が日本の首相である高市早苗氏(写真)に対する「斬首」発言を行い、国際的な衝撃を与えた。(写真/AP通信)

日本の高市早苗首相が7日の衆議院答弁で「台湾有事」について言及した翌日、中国駐大阪総領事の薛剣氏がX(旧Twitter)で関連報道を引用し、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と書き込み、国際的な衝撃を呼んだ。薛剣氏は投稿を削除したものの、批判は収まらず、その後SNS上では「日本の官僚が報復措置を発表した」とする真偽不明の情報が拡散した。台湾のファクトチェックセンターは、これらの噂に関する検証報告を公表した。

ファクトチェックセンターのまとめによると、ThreadsやFacebookでは「薛剣総領事が日本首相への『斬首』発言を撤回しなかったため、日本の経済安全保障担当大臣・小野田紀美氏が48時間以内に違法滞在の中国人のビザを取り消し、3000億円相当の資産を没収し、中国人による違法行為を全面的に調査する」と発表した、という内容の投稿が広がった。『ガーディアン』や日本のニュースサイト、中央社の報道によれば、高市首相は7日の委員会で「台湾有事で武力行使があれば、日本の存立に関わる危機事態に発展し、集団的自衛権を行使せざるを得ない可能性がある」と述べていた。その直後に薛剣氏の発言が「首を斬る」と受け止められ、強い批判が巻き起こった。

しかし、ファクトチェックセンターが日本のメディア報道や日本政府の公式サイトを調べたところ、「小野田氏が外交問題に関連して中国人のビザ取消や資産没収、全国調査を発表した」といった情報は一切確認されなかった。台湾・政治大学安倍晋三研究センターの李世暉主任も、日本政府からそのような発表を聞いたことはないと述べ、この種の措置は極めて敏感かつ重大な外交・治安政策にあたるため、仮に実施する場合は内閣官房長官が発表すべきだと指摘した。また、小野田氏の役職からみても、単独で大規模な違法者の摘発や資産没収、全国的な調査を決定・発表する立場にはなく、本来複数省庁が共同で進めるべき性質のものであると説明した。

一方、外国人の土地購入や資産に関する施策について、ファクトチェックセンターは、日本政府が外国人の国内活動や不動産保有に関する制度見直しに着手し始めていることを指摘した。『外交官』(The Diplomat)の報道では、日本政府は2026年1月までに「外国人政策の基本方針」をまとめる方針で、4日に初の部会合同会議を開催し、各省庁に対しビザ期限切れ、土地購入、違法伐採など多方面の制度改正案を検討するよう求めたとされる。日本政府は特に外国人による土地購入や不動産所有の監視に関心を寄せており、円安に伴う海外投資家の住宅購入増加が価格に影響している可能性も指摘されるが、現時点では十分な情報が集まっていないため、「実態把握と情報整理」に重点を置いている段階だという。特定の国籍を対象とした土地購入の即時制限は、現状では導入されていない。

『産経新聞』の報道でも、小野田氏は「政府は『ごく一部の』外国人による違法ケースには厳正に対処するが、法を守る外国人が偏見の対象になるべきではない」と述べたとされる。

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編集:田中佳奈

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