中国外交官が高市早苗氏を挑発 「首を斬る」発言に波紋、台湾外交部「各国と建設的関係を」

2025-11-12 12:17
台湾外交部の蕭光偉氏(報道官)が11日午前の定例会見で記者団の質問に答えた。(写真/鍾秉哲撮影)
台湾外交部の蕭光偉氏(報道官)が11日午前の定例会見で記者団の質問に答えた。(写真/鍾秉哲撮影)

日本の高市早苗首相は先日、衆議院での質疑で、中国が軍艦で台湾周辺海域を封鎖し武力を伴う場合、日本の「存立危機事態」に該当する可能性があるとの見方を示した。これを受け、中国駐大阪総領事の薛剣氏が関連報道をSNSで共有し、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」と威圧的な文言を投稿。国内外で波紋が広がった。台湾の外交部は11日、中国外交官の「戦狼」的な言動は目に余り、恣意的な覇権姿勢を露呈したと強調した。

高市氏は7日の答弁で、中国が軍艦を動員し武力を伴って台湾海域を封鎖する場合、「存立危機事態」を構成し得るとの認識を示す一方、最終判断は事態発生時に政府が総合的に行うべきだと説明。民間船舶を一列に並べて通行を妨げるだけの状況は、同事態には当たらないとの見解も示した。発言は連日注目され、高市氏は翌日の国会でも「政府の従来見解に基づく」として撤回や修正の意向はないと述べつつ、今後は特定の状況を前提とした言及は控える考えを示した。

その後、高市氏の発言が日本のメディアで報じられる中、薛氏は8日にSNSで当該報道を共有し、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」とし、怒りの絵文字も付した。木原稔官房長官は10日、「在外公館の長として極めて不適切で、強く非難せざるを得ない」と指摘。外務省など関係機関は中国政府に正式に抗議し、説明を求めた。

台湾の外交部は11日午前の定例会見で見解を問われ、蕭光偉報道官が「他国を尊重することは自らを尊重することに等しい」と述べたうえで、日本側はすでに厳重抗議と協議を行っていると説明。「中国の外交官による戦狼的な言動は目を見張るもので、恣意的な覇権姿勢を際立たせる。文明と法治の国における言論の底線を超えるだけでなく、一国の政府要職者に対する著しい不敬だ」と批判した。

蕭氏はさらに、中国外交官の不適切な発言や行動は自国のイメージを損なうだけだとして、中国に相互尊重の原則を踏まえ、台湾を含む他国と国際社会で良好な関係を築くよう促した。また、台湾海峡の平和と安定は世界の安全と発展に関わる重要課題だとし、台湾は理念を共有する各国と緊密に連携し、台海の安定確保と、権威主義によるさまざまな脅威・侵擾への対応に引き続き取り組むと述べた。

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編集:田中佳奈

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