公明党の斉藤鉄夫代表、「自公連立解消の背景と今後」を語る 「政治不信を断ち切るための決断だった」

公明党の斉藤鉄夫代表が、連立解消の理由と今後の方針を語った。(写真/FCCJ)
公明党の斉藤鉄夫代表が、連立解消の理由と今後の方針を語った。(写真/FCCJ)

自民党が高市早苗氏を新総裁に選出したことを受け、公明党が26年間続いた自公連立を解消した。この政局の転換について、公明党の斉藤鉄夫代表は10月20日、日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を開き、連立離脱の経緯と今後の展望を語った。斉藤氏は「政治とカネをめぐる不信が連立継続を困難にした」と述べ、「国民の信頼回復と政策実現に向けて、現実的な政治を続けていく」と強調した。

公明党の斉藤鉄夫代表が、連立解消の理由と今後の政治方針をFCCJ会見で語った。FCCJ
公明党の斉藤鉄夫代表が、連立解消の理由と今後の方針を語った。(写真/FCCJ)

まず、自民党総裁選の結果が自公関係に与えた影響について触れ、「高市氏が萩生田光一氏を要職に起用したことは、公明党として看過できない政治倫理上の問題だった」と指摘。2024年に発覚した政治資金問題への関与が指摘された人物が再び権力中枢に起用されたことは、「クリーンな政治を掲げる公明党の立場と相いれなかった」と説明した。その上で、「政治不信の連鎖を断ち切るための決断だった」と述べた。

また、離脱の背景には理念的な隔たりもあったとし、「高市氏の歴史認識や安全保障観は、支持母体である創価学会の価値観と大きく異なる」と説明。「右傾化が進みすぎれば社会の分断を招きかねない」と警鐘を鳴らし、「公明党は中道・現実主義の立場を堅持する責任がある」と語った。

今後の政党関係については、「自民党と対立することを目的とするのではなく、政策ごとに協力の可否を判断する」と述べ、全面的な対立を否定。「少子化対策や社会保障、防災・減災分野などでは引き続き協力の余地がある」として、是々非々の立場を貫く姿勢を示した。

一方、野党との連携に関しては「国民民主党などとの政策協議も可能性としてはあり得る」と述べつつ、「政局主導の一時的な連携には加わらない」と慎重な姿勢を示した。日本維新の会との関係については、「憲法や社会保障に関する基本的な立場が大きく異なるため、容易な連携は難しい」との見方を示した。

公明党が掲げる「加憲」方針について問われると、斉藤氏は「現行憲法の平和主義を維持しつつ、時代に即した補強が必要だ」と説明。災害対策や人権保護など、「国民に理解されやすい形で議論を進めるべきだ」と述べた。改憲論議が安保政策の強硬化に傾くことへの懸念も示し、「国民の安心に資する穏健な議論が求められる」と語った。

離脱によって公明党の影響力が低下するのではないかとの質問に対しては、「権力の一部になることが目的ではない。政策を実現し、生活者の声を政治に届けることこそ党の存在意義だ」と強調。「支持母体との信頼関係を守ることが最優先であり、それが結果的に政治的な力にもつながる」と述べた。

高市政権の見通しについては、「参議院で過半数を失っており、法案審議には協力政党が欠かせない」と分析。そのうえで「自公の関係が完全に途絶えるとは限らない」としながらも、「国民の信頼を得られなければ短命に終わる可能性もある」と冷静に見通した。

最後に斉藤氏は、「公明党は平和と福祉の党として、対立よりも対話を重んじ、日本政治の安定に貢献していく」と述べた。会見は、公明党が連立離脱後も「中道改革政党」として独自路線を歩む姿勢を示して締めくくられた。


編集:田中佳奈

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