高市早苗氏が再び「台湾有事」に言及 中国外交官が「斬首」の脅威を宣告: 覚悟はできているか

高市早苗首相が「台湾有事」の重要性について幾度も強調している。(写真/AP通信提供)
高市早苗首相が「台湾有事」の重要性について幾度も強調している。(写真/AP通信提供)

高市早苗首相は11月7日、衆議院での質疑応答の中で、いわゆる「台湾有事(台湾での緊急事態)」が発生し、武力行使を伴う場合、日本の安全保障法制における「存亡危機事態」に該当する可能性があるとの認識を示した。

高市首相は、「実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、すべての情報を総合して判断しなければならない」としつつ、「武力攻撃が発生したら、これは存立危機事態にあたる可能性が高い」と述べた。

こうした発言を受け、中国駐大阪総領事の薛剣(シュエ・ジエン)氏は8日深夜、SNS「X(旧Twitter)」に日本メディア報道を引用して投稿。「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」と書き込み、怒りの絵文字を添えた。

この投稿は日本国内で大きな反発を招き、ネット上では「高市首相への殺害予告とも取れる極めて悪質な発言だ」との批判が相次いだ。薛氏は翌9日夕方に投稿を削除したが、『産経新聞』が中国総領事館にコメントを求めたところ、回答は得られなかった。

その後も薛氏は激しい言論を続け、「台湾問題は日本とは無関係であり、中国人自身で解決すべきだ」と主張。さらに「『台湾有事は日本有事』は日本の一部の頭の悪い政治屋が選ぼうとする死の道だ。」と非難した。

また、「敗戦国として果たすべき承服義務を反故にし、くれぐれも最低限の理性と遵法精神を取り戻して理性的に台湾問題を考え、敗戦のような民族的潰滅を喰らうことが二度とないようにしてほしい。」と強調した。

注目すべきことに、論争の後、薛氏は「日本の皆さんが知らない両岸関係」と題した一連の投稿も行い、台湾の国民党主席・鄭麗文(チョン・リーブン)氏が参加した「1950年代白色テロ政治受難者追思慰霊大会」での発言や、台湾民主自治同盟関係者のコメントを引用。日本の政界が中国内政に干渉していると批判した。

さらに勝手な想像任せで拡大解釈と歪曲を止めてほしい。問題の発端は、我が方の再三再四に亘る反対表明を顧みず、『台湾有事は日本有事』としょっちゅう平気で言ってる日本側の政治屋だと重ねて指摘しておきたい。皆さんの理屈で言えば、これこそ中国への立派な「脅迫」と「殺害示唆」だろう」と主張した。

神戸市議で友台派として知られる上畠寛弘氏はXで、「何度と薛剣は内政干渉をしてきたが中国を代理する外交官によるこの発言はもはや宣戦布告ではないか?」と投稿した。

自民党の山田宏参議院議員も、「『ペルソナ・ノングラータ』(外交上の『好ましからざる人物』)で、即追放処分にせよと批判し、政府に対応を求めた。

薛剣氏は過去にも度々強硬発言で物議を醸している。2021年には「台湾独立=戦争。中国に妥協の余地はない」とXに投稿し、日本の衆議院議員・松原仁氏から書面質問で正式に抗議を受けた。

また、台湾問題に詳しい日本のジャーナリスト矢板明夫氏はFacebookで「約20年前、北京で勤務していた際に薛氏と面識があった。当時はまだ理性的に会話できる人物だった」と回想。「しかし大阪赴任後、私が台湾で発表した意見をSNSで名指し批判し、『恩知らずの白眼狼』と罵倒した。すでに『戦狼(ウォルフ・ウォリアー)』のような状態だった」と明かした。

矢板氏は松原氏の主張を引用し、「ペルソナノングラータと国会で何度も訴えてきた。ウィーン条約に基づき国外追放すべきだ」と訴え、「高市首相には毅然と対応してもらいたい。こうした人物を日本でのさばらせてはいけない」と呼びかけた。

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