BBCドキュメンタリー編集巡り波紋 トランプ氏が10億ドル賠償請求、総裁ら辞任

イギリス放送協会(BBC)。(写真/AP通信提供)
イギリス放送協会(BBC)。(写真/AP通信提供)
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英BBCが2024年米大統領選の1週間前に放送したドキュメンタリーで、トランプ氏が2021年の演説で語った「連邦議会議事堂へ行こう」と「全力で戦え」という二つの発言を編集でつなぎ合わせ、あたかもトランプ氏が「米連邦議会襲撃事件」を直接扇動したかのような印象を与えた。これに対しトランプ氏は激しく反発し、BBCが選挙に影響を与えようとしたと非難、少なくとも10億ドル(約1546億円)の損害賠償を求めている。

この問題を受けて、BBCのティム・デイヴィ総裁とニュース部門トップのデボラ・ターネス氏が辞任。『ニューヨーク・タイムズ』『フィナンシャル・タイムズ』『エコノミスト』など主要国際メディアでも大きく報じられた。多くの分析は、この危機の本質は単なる「編集ミス」ではなく、意見が深く分断された現代社会において公共放送がいかに公正にあらゆる立場を扱えるかという、根本的な試練にあると指摘している。

編集工作!トランプ氏、BBCを非難し、大選への介入を批判

2024年、アメリカ大統領選の1週間前に、BBCのドキュメンタリー番組『パノラマ』(Panorama)が特別番組『トランプ、セカンドチャンス?』(Trump: A Second Chance?)を放送した。この1時間特集の中で、トランプ氏が2021年1月6日に「議事堂への行進」(We walk down to the Capitol)と「必死に戦え」(Fight like hell)と呼びかけた演説が議会襲撃の映像と共に編集され、トランプ氏が直接暴力行動を扇動したかのような印象を与えていた。

しかし、これらの発言は実際には約50分の間があり、トランプ氏は「議事堂への行進」の後、「我々の勇敢な上下両院の議員たちを応援しよう」と続けている。

BBCからの内部告発文書によると、BBCの上層部はこの編集が発言者(トランプ氏)の見解を歪めるものであることを認めず、番組を擁護する姿勢を示している。英紙『デイリーテレグラフ』は11月3日、そのメモを掲載した。ホワイトハウスのレイビット報道官は8日、BBCを「100%のフェイクニュース、プロパガンダ」と呼称して応じた。翌日、BBCのデービー総裁とトゥーネス報道部責任者が辞任を表明した。

トランプ氏はその後、自身のSNSプラットフォーム「Truth Social」で「勝利」を宣言。「BBCの上層部が全員辞任もしくは解雇されたのは、1月6日の私の素晴らしい(完璧な)演説を『歪曲』したからだ」と述べ、「大統領選に干渉しようとする非常に不誠実な者たちがいた。それも外国、我々の最も重要な同盟国によるもので、民主主義にとって非常に恐ろしいことだ」と付け加えた。 (関連記事: BBC調査が暴いた「ドバイ乱交パーティー」の闇 元ロンドンバス運転手が性取引を操り、ウガンダ女性が富豪の玩具に…不可解な墜落死も 関連記事をもっと読む

トランプ氏の法律チームも、BBCが「故意かつ欺まん的な編集」を行い、2024年の米大統領選を妨害しようとしていると非難した。英紙『フィナンシャルタイムズ』によると、トランプ氏の弁護士がBBCに対し、「虚偽で中傷的な声明を撤回し、公式な謝罪をしない限り、10億ドル以上の損害賠償訴訟を起こす」と警告する書簡を送った。BBCは「適切な時期」にこの書簡に対応すると述べている。

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