トランプ関税の行方に各国が翻弄 米国が台湾に最大5500億ドル投資を要求か、通商交渉は不透明なまま

2025-11-14 09:25
行政院副院長・鄭麗君氏はかつて、「現段階の関税交渉の焦点は、米国側が我々に対して投資拡大とサプライチェーン協力を期待し、我々は232関税の優遇措置と相互関税の再調整を求め、元の税率を上乗せしないことだ」と述べた。(写真/羅立邦撮影)
行政院副院長・鄭麗君氏はかつて、「現段階の関税交渉の焦点は、米国側が我々に対して投資拡大とサプライチェーン協力を期待し、我々は232関税の優遇措置と相互関税の再調整を求め、元の税率を上乗せしないことだ」と述べた。(写真/羅立邦撮影)
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米連邦最高裁がトランプ大統領の関税措置の合法性を厳しく審理する一方、ホワイトハウスの大統領執務室(オーバルオフィス)では、世界を巻き込む通商交渉が全速力で進んでいる。だが、米メディア『Politico』は12日、9人の判事がどんな最終判断を下そうとも、各国は関税の締め付けが強まる前に、わずかな生存余地を確保しようと必死に「交渉の席」を求めていると指摘した。

台湾も例外ではなく、米国側から最大5500億ドル(約85兆円)規模の投資を求められているという驚くべき話も伝わる。ただ、事情に詳しい関係者でさえ、台米間の協議が具体的な合意に至る時期については見通せていない。

欧州の小国の高官で、国家戦略上の理由から匿名を条件に取材に応じた人物は「扉はほんのわずかしか開いていない。私たちの目標は、その隙間にどうにか足をねじ込むことだ」と『Politico』に明かした。その切迫した心情は、いま多くの国々が共有しているものでもある。最高裁の判断がどう転んでも、まだホワイトハウスと合意に至っていない国々は、すでに協定を結んだ「先行組」に追いつかなければならず、少なくとも各国が勝ち取った「最良の税率」だけは確保したいとの思いに駆られている。

米連邦最高裁は先週の口頭弁論で、トランプ政権が1970年代の「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を根拠に関税を課した範囲について、全体として懐疑的な姿勢を示した。トランプ氏はこの法律を使い、米国が「移民問題やフェンタニル密輸」という緊急事態に直面していると主張して、カナダ・メキシコ・中国からの輸入品に追加関税を課した。今年夏には、さらに「貿易赤字」そのものが国家の緊急事態だと位置づけ、主要な貿易相手すべてに「相互関税」を発動した。

ただし、この司法審査には限界がある。訴訟は、トランプ政権が鋼鉄・アルミ・自動車・自動車部品・木材などの重要産業を対象に実施した十数件の貿易調査には踏み込んでいないからだ。これらの調査には別の法的根拠があり、その結果、多くの輸入品に高い関税が課された。こうした関税もまた、トランプ政権が交渉の扉をこじ開けるための「武器」として機能し、欧州連合(EU)、韓国、日本といった輸出国を交渉の場に引きずり出した。特に自動車輸出国は、トランプ政権がちらつかせた25%の高関税に耐えられず、それぞれ米国と個別に合意した経緯がある。

米国の前副通商代表でアジア専門家のウェンディ・カトラー氏は、各国が急いで交渉を進める理由について「自動車や医薬品のように、すでに低い関税を確保した競争相手に後れを取ることへの強い危機感がある」と分析する。カトラー氏はさらに、各国には「法律がどう転ぼうとも、関税は何らかの形で残る」という強い確信があり、最高裁でトランプ関税が争われているにもかかわらず、各国が交渉のペースを緩めている兆しはまったく見られないと指摘している。

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