前台湾総統の蔡英文氏は現地時間10日、ドイツ・ベルリンでドイツ紙『ディ・ヴェルト』のインタビューに応じ、「台湾は防衛能力と国民のレジリエンス(回復力)を強化しており、人工知能(AI)と半導体の時代において戦略的に不可欠な位置を占めている。『簡単に犠牲にはされない』」と述べた。
「犠牲論」に対する強い反論:台湾はグローバル技術の要となる
一部で、米国大統領が台湾を中国との交渉材料に使う可能性を憂慮する声があるが、蔡氏はこれに対し次のように応じた。
戦略的地位:蔡氏は「台湾の戦略的位置付けは極めて重要であり、貿易その他の利益交換によって犠牲にされることはありえない」と強調した。
AIと半導体の核心:現在、急速に台頭するAI時代において、台湾は世界の科技・経済発展のキーハブとなっており、特に半導体分野での地位は短期的に代替できないという。
国防とレジリエンスの強化:軍事力と民間の回復力を二本柱としている。
軍事・エネルギー両面で防衛体制を強化
中国が武力侵攻した場合の台湾の対応力を問われた際、蔡氏は次のように説明している。
軍事と民防の強化:台湾では兵力改善への大規模投資が進む一方で、国民に対しても侵略や突発事象に備えるレジリエンス教育を強化している。
エネルギーのレジリエンス:中国による海上封鎖が台湾には大きな脅威だが、蔡氏は「この挑戦は制御可能な範囲にある」と述べた。台湾は近年、輸入依存から脱却するエネルギー策を展開し、電力供給の多様化で電力の耐久性を向上させてきた。
TSMCのドイツ進出が示す意味、そして主要国の支持要請
蔡氏は、TSMCがドイツ・ドレスデン近郊に進出した件に言及。これはドイツの自動車産業にとって経済的に大きな意義を持つとし、「これは台湾にとって、中国の侵攻リスクに備え、生産拠点を分散させる理にかなった選択でもある」と語った。
さらに、蔡氏は台湾にとって「主要な大国の政治的支持」が不可欠だとし、特にドイツ政府が国連憲章の「武力の使用禁止原則」が台湾にも適用されると表明したことは大きな前進だと述べた。台湾海峡は世界の貿易と航行の50%を占める海域であり、「信頼できない者の手に落ちてはならない」と結んだ。
編集:柄澤南 (関連記事: 中国は本当に台湾に侵攻するのか?米シンクタンク:台湾侵攻シナリオの実現性を覆す4つの理由とは | 関連記事をもっと読む )
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