米連邦準備制度理事会(FRB)は、日本時間の31日午前3時に最新の政策金利を発表した。市場予想通り、5回連続で据え置きとなり、フェデラルファンド(FF)金利は年4.25〜4.50%に維持された。しかし今回の決定では、理事のウォラー氏とボーマン氏が利下げを主張し、反対票を投じた。理事2名が同時に反対したのは1993年12月以来で、259回連続の会合で初めての事態となり、FRB内の分裂が市場の注目を集めた。
発表に先立ち、トランプ米大統領は演説で「パウエル議長はきょうは利下げしないだろう。9月に利下げするという話は聞いている」と述べ、さらに「高金利は人々を傷つけている。今すぐ利下げすべきだ」とFRBを批判した。ホワイトハウスのハセット国家経済会議委員長も、現在の経済データは利下げ条件に合致していると指摘しつつ、「FRBの独立性は尊重する」と強調した。多くの経済学者はFRBの対応が後手に回っていると見ている。
ウォール街の投資家は今回の投票結果に強く反応し、2人の理事による反対票が意味する政策分裂に注目している。パウエル議長は午前2時30分の記者会見で説明に臨む予定で、市場はその発言を精査する構えだ。連邦公開市場委員会(FOMC)の投票は9対2で据え置きが決定され、声明文に大きな変更はなかったことから、市場はFRBが当面利下げに慎重な姿勢を維持していると受け止めている。なお、反対票を投じたウォラー氏とボーマン氏はいずれもトランプ氏が任命した理事で、現行の金融政策は過度に厳しいとの認識を示している。
市場アナリストは、今回の反対票は予想外ではないと分析しつつ、今後の注目点はパウエル議長がこの「意見の分裂」をどう位置付けるかだとしている。FRBの政策運営は今後も難しい舵取りを迫られる見通しだ。
以下はFOMC声明全文:
輸出の変動は経済データに影響を及ぼしているが、最近の指標は、今年上半期の経済活動がやや減速していることを示している。失業率は依然として低水準で、労働市場は引き続き安定している。インフレ率はなお目標をやや上回っている。
委員会の目標は、最大限の雇用と長期的に2%のインフレ率を維持することにある。現時点でも経済見通しには不確実性が残っており、委員会はこれらの目標達成に対するリスクを注視している。
この目標を支えるため、委員会はフェデラルファンド金利の誘導目標レンジを年4.25〜4.50%に維持することを決定した。今後、この目標を調整する必要があるかを判断する際には、最新のデータ、経済見通しの変化、そしてリスクのバランスを慎重に評価する。
委員会は引き続き、国債、政府系機関債務、および住宅ローン担保証券(MBS)の保有を縮小する方針を維持する。最大限の雇用と2%のインフレ目標の実現に向け、断固たる姿勢で取り組む。
適切な金融政策スタンスを判断する際、委員会は新たな情報が経済見通しに及ぼす影響を注視する。目標達成を妨げるリスクが顕在化した場合には、適時に政策対応を調整する。判断にあたっては、労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待、金融市場および国際情勢など幅広い要素を考慮する。
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