アメリカのトランプ大統領は8月1日、最新の「相互関税」リストを発表し、台湾に対して20%の関税率を適用することを明確に示した。これは日本および韓国の15%を上回り、インド、ベトナム、スリランカなどと同水準である。
この発表を受け、台湾株式市場は本日、23,318.37ポイントで取引を開始し、前日比224.15ポイント安となった。取引中には一時23,168ポイントまで下落し、最大374ポイントの下げ幅を記録した。時価総額は75.87兆台湾ドルから74.66兆台湾ドルへと縮小し、1日で1.21兆台湾ドルが消失した形となった。
国家安定基金と公営銀行が市場支援 下支えの動きが鮮明に
税率が日本や韓国の15%と同水準にならなかったことで、市場では当初、パニック的な売りが発生した。しかし、国家安定基金と大手公営銀行が直ちに買い支えに入り、市場の安定に寄与した。資金が場中に流入すると、株価指数の下落幅は次第に縮小し、およそ150ポイント安にまで収まった。推定売買代金は4,150億台湾ドルに達する見込みである。店頭市場指数も同様に安寄りし、場中には一時228.4ポイントまで下落し、季節線を割り込む場面があった。
電子主力株の動向は
台湾積体電路製造(TSMC、証券コード2330)は、15台湾ドル安の1,145台湾ドルでギャップダウンして取引を開始し、5日移動平均線および10日移動平均線を下回った。取引時間中には一時1,140台湾ドルまで下落する場面もあった。その他の主要電子株の場中の動きは以下の通りである。
- 鴻海精密工業(2317):175元で始まったが、場中の下落幅は0.5元に縮小し、177.5元となった
- 聯発科技(2454):1,350元で安寄りしたが、買い注文の参入後に力強く上昇に転じ、1,375元まで回復し、5元上昇した
- 広達電脳(2382):5.5元下落し、276元となった
- 長栄海運(2603):1.5元下落し、196.5元となった
投資顧問は今後の展開をどう見るか
凱基投顧は、今回の関税率が日本や韓国よりも高く設定されたことで、短期的に上場・店頭企業の競争力が低下する懸念があると指摘し、電子先物市場でも同様の下落が見られたとした。「短期的には台湾株式市場が20日移動平均線を試す展開が予想されるが、市場はすでにさまざまなシナリオを織り込んでおり、関税発表による影響は次第に薄れる可能性がある」と分析している。
台新投顧は、関税に関する報道が短期的な売り圧力を招き、指数が一時的に23,000ポイントを下回る可能性があるとしながらも、ファンダメンタルズの支えにより、その後は24,000ポイントを目指す展開もあり得るとした。注目業種として、食品、観光・外食、アパレル、AIチップ、ASIC、サーバー、冷却装置、電源管理、PCB、半導体設備、化学材料などを挙げている。
統一投顧は、関税政策の方向性が明確になったことで、市場は短期的に高値圏でのもみ合いが続くと予測。今後は米国の232条項調査の行方が焦点になるとした。投資戦略としては、流動性が高く業績の安定した中大型株への分散投資を推奨しており、具体的にはAI関連銘柄、TSMCサプライチェーン、PCB関連、素材の高度化・代替材料関連、工作機械、ロボット、バルク輸送、バイオテクノロジー産業などを挙げている。
国際市場の軟調が圧力を拡大
米国株式市場は前営業日、主要指数がそろって下落した。ダウ工業株30種平均は330.3ドル(0.74%)安、S&P500種指数は23.51ポイント(0.37%)安、ナスダック総合指数は7.22ポイント(0.03%)安となった。フィラデルフィア半導体指数は179.4ポイント(3.1%)の大幅安である。国際市場の軟調に加え、台湾と米国の関税をめぐる報道が重なったことで、市場ではリスク回避姿勢が強まった。
なぜ台米貿易は台湾株式市場に影響を与えるのか?
台湾は昨年、対米貿易で約650億米ドルの黒字を記録しており、その多くはハイテク製品の輸出によるものである。米国は台湾にとって重要な市場であり、仮に20%の関税が長期にわたって維持されれば、一部の電子製品や半導体、部品の受注が関税率の低い国へと移転する可能性がある。これにより、企業の売上が圧迫され、株式市場のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす恐れがある。
編集:柄澤南 (関連記事: 台湾株先物が急落500ポイント超 トランプ20%関税で市場に警戒感 | 関連記事をもっと読む )
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