日本の大手ブランドソニーグループは、米トランプ前大統領が導入した高関税の影響が懸念されるなかでも、2026年3月期の営業利益はわずかに増える見通しだと発表した。
『日経アジア』によると、ソニーの最新の決算では、今期の営業利益は1兆3800億円に達する見込みで、前年同期比で約8%増となる。ただし、米国による報復関税の影響で、ソニーは今後1000億円の損失を被る可能性が高い。この関税は、ゲーム機やテレビ、音響機器、半導体など幅広い製品に影響を及ぼすと見られる。
Sony said it expects operating profit to rise 0.3% in the financial year ending in March, after factoring in a 100 billion yen hit from President Trump's trade warhttps://t.co/CQMkJyIYXmpic.twitter.com/VUH96myvEZ
— Reuters Asia (@ReutersAsia)May 14, 2025
過去10年、ソニーはゲーム、音楽、映画といったエンターテインメント分野への事業シフトを進め、ブランドの柱を築いてきた。今年4月に社長に就任した十時裕樹氏は、「過去数年、コンテンツや知的財産の拡大、アニメへの戦略投資を進めてきた。それが今の強い業績につながっている」と語った。
ゲーム部門は、2026年3月期に営業利益4800億円を見込み、16%の増加を予想。映画部門も7%の増益を見込んでおり、音楽事業は横ばいになる見通しだ。一方、ゲーム開発と配信を強化し、人気作品を映画化するなど、グループ内の連携を進め、相乗効果を狙っている。

2012年時点では、ソニーのエンタメ事業は全体売上の26%にとどまっていたが、2023年度にはゲーム、音楽、映画の3事業がグループ売上の55%を占めるまでに拡大した。
さらにソニーは、外部ブランドとの連携も強化。最近では出版社の角川と資本提携し、最大株主となったことで、豊富なアニメ資源を手中に収めた。
リスク分散の一環として、金融事業を担っていたソニーフィナンシャルグループの株式保有比率を20%未満まで引き下げ、同社を東京証券取引所に上場させる計画も進行中だ。

トランプ関税の影響について十時社長は、「例えば人気のPlayStation 5は、世界各地で生産・組み立てを行っているが、米国が現在の関税を維持すれば、ゲーム事業への打撃は避けられない」と率直に認めた。ただし、今のところ生産をアメリカに移す計画はないとしている。
また、ソニーは2500億円の自社株買いを実施。関税リスクがある中でも、ゲームなどの成長事業を軸に投資家からの期待は高く、株価も堅調に推移している。
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編集:梅木奈実
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