海に面していない台湾唯一の県である南投県。豊かな自然景観と文化資源を活かし、多くの観光客を魅了している。南投の観光地といえば清境農場や日月潭が広く知られているが、近年では山中に佇む絶景の秘境「忘憂森林(わんようさんりん)」を訪れる観光客が増加している。この静寂な湿地景観は訪問者から高い評価を得ているだけでなく、国際メディアCNNからも推奨されている。
こうした中、ある女性がSNS「Threads」に「悩みを忘れられる場所があるなら、真っ先に思い浮かぶのは南投の秘境『忘憂森林』だ」と投稿した。彼女は「忘憂森林は季節によって満水期と枯水期という全く異なる景色を見せるが、どちらも美しい」と語り、「どの景色も違う美しさがある」と称賛している。
この投稿に対し、ネットユーザーからは「素晴らしい景観だが、霧の発生や急な天候変化があるため安全には注意を」「それぞれの時期に訪れる価値がある」「水面に映る倒影が素晴らしく、霧が立ち込めると幻想的な雰囲気になる」などのコメントが寄せられた。
鹿谷郷に位置する「忘憂森林」は渓頭自然教育園区内に点在している。杉林渓脇の原始林であったこの場所は、921大地震による土砂崩れで河道が塞がれ、沼沢地が形成された。元々生育していたスギの林が長期間水没したことで枯死し、独特の湿地景観が生まれたという。標高約2000メートルに位置するこの地域は常に霧に包まれ、枯れたスギの姿が水面に映り込み、幻想的な風景を作り出すことから「霧の森」や「台湾版九寨溝」とも呼ばれている。
また、CNNが選定した台湾の8大秘境にも「忘憂森林」が選ばれ、馬祖の青眼涙、台中の大安渓峡谷、新北の石碇千島湖、台南の四草緑色トンネルなど人気スポットと肩を並べた。
一方、「忘憂森林」は山中に位置するため、アクセス路は勾配40〜50度と急峻で、地形も険しいことから高齢者や子どもには歩行が困難とされる。車での訪問が推奨されるが、運転が難しい場合は事前に地元業者に連絡し、送迎車を手配することも可能だ。また、高山特有の変わりやすい気候に対応するため、雨具の携行や防寒対策も求められる。
Googleのレビューで4.6星の高評価を獲得している「忘憂森林」について、訪問者からは「青空、白雲、枯れ木の水面反射、カエルの鳴き声が詩情を感じさせる」「わずかな滞在時間でも心身が静まる美しさがある」「日中の明るい時間帯は鮮やかな写真が撮影でき、午後の霧は幻想的な雰囲気を醸し出す」「枯れた柳杉が堰塞湖に浮かぶ静寂の景観は、霧がかかると一層神秘的で、晴天時には水面の反射が変化し、まさに悩みを忘れさせる場所」などの感想が寄せられている。
編集:梅木奈実 (関連記事: 故宮でも陽明山でもない!台北の最強観光スポットが221万人を魅了、観光客:交通が便利で、朝から晩まで楽しめる | 関連記事をもっと読む )
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