櫻井翔が台湾総統に単独インタビュー 頼清徳氏「中国の脅威は世界の問題」日米に協力呼びかけ

日本の芸能人・櫻井翔(左二)と《読売テレビ》上海支局長・渡辺容代(左一)が台湾総統・賴清德(右)にインタビュー。(総統府公式サイトより)

日本テレビ系『NEWS ZERO』の特別企画で、人気タレントでキャスターの櫻井翔氏が台湾の頼清徳(らい・せいとく)総統を単独インタビューした内容が、5月19日夜に放送された。読売テレビ上海支局長の渡辺容代氏と共に行われたこの取材は、日本の主要メディアによる異例の対応として注目を集めた。

インタビューでは、台湾海峡の安全保障、中国の軍事的脅威、米台・日台関係、さらには無人機技術の戦略的重要性など多岐にわたるテーマが取り上げられた。

頼総統は「中国の脅威は台湾だけでなく、国際社会全体に関わる問題だ」と指摘。中国はルールに基づく国際秩序を変えようとしており、台湾併合はその第一歩に過ぎないと強調した。台湾有事が起これば、地域に混乱が起こるだけでなく、世界のサプライチェーンが分断され、経済的損失は最大で10兆ドルに及ぶ可能性があると警鐘を鳴らした。

台湾政府が掲げる「平和の4本柱」には、(1)国防力の強化、(2)経済の強靱化、(3)民主主義陣営との協力による抑止、(4)対等と尊厳に基づく対中対話――という4点で構成されている。頼氏は「実力によって平和を維持し、備えることで戦争を回避する」と述べ、台湾の主権と民主主義を守る姿勢を強調した。

無人機開発については、防衛だけでなく産業転換の鍵になると語り、ウクライナ戦争を例に「ドローンは新時代の戦略要素だ」と指摘。将来的には台湾と日本が半導体産業のように、無人機技術でも連携できることを期待すると述べた。また、「台湾が無人機を開発するのは防衛目的であり、他国を侵略する意図は一切ない」と語った。

日米の軍事的協力について問われると、頼氏は「予防が最善の策」と前置きし、「国際社会からの支援を得る前に、まず自らの防衛意志と準備を示す必要がある」と述べた。また、アメリカとの関係については、「トランプ政権時代もバイデン政権でも、米台関係は一貫して強化されている」と評価し、アメリカ国防総省も「中国による台湾侵攻の阻止はインド太平洋地域の平和維持に不可欠」との立場をとっていると説明した。

さらに、頼総統は日本との個人的なつながりにも言及。台南市長時代には東日本大震災の被災地・仙台を訪れた経験を語り、台南地震の際には安倍晋三元首相が支援を申し出たことにも感謝を表明。「台湾と日本は災害のたびに助け合ってきた。今や単なる隣国ではなく、家族のような関係」と語り、今後も安全保障や産業分野での協力深化を期待すると述べた。

今回のインタビューは、日本の国民的人気を誇る櫻井翔氏が担当したことから、日本国内での注目度も高く、頼総統が日本および国際社会に向けて「台湾は地域の安定に不可欠な存在である」と改めて強調する重要な機会となった。 (関連記事: 台湾・頼清徳総統、高市早苗氏と会談 「非紅色サプライチェーン」構築へ協力 関連記事をもっと読む

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編集:梅木奈実

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