日台連携強化へ 台湾頼総統・蕭副総統が自民党青年局訪問団と会談 半導体・安保・文化交流に期待

頼総統・蕭副総統が自民党青年局訪問団と会談。(写真/総統府提供)

台湾・総統府は1日午前、日本自民党青年局幹部訪問団を迎え、頼清徳総統および蕭美琴副総統がそれぞれ接見した。頼総統は、防衛、経済、教育、文化、スポーツ、芸術など多岐にわたる分野での実質的連携の深化に期待を示し、訪問団の継続的な訪台と交流に謝意を表明した。

総統は挨拶で、中曽根康隆青年局長、平沼正二郎衆議院議員、神谷政幸参議院議員ら来賓の再訪を歓迎した。昨年発生した花蓮地震の際、青年局が募金活動を行ったことに対して感謝の意を述べ、「青年局のメンバーは日本の次世代を担うリーダーであり、今後の実りある交流に期待している」と語った。

台湾海峡の平和と安定がインド太平洋地域、ひいては国際社会全体の安全と繁栄に直結するとの認識を強調し、日台がこの分野で協力していく意義を訴えた。また、歴代日本首相が国際社会で繰り返し台湾海峡の安定を支持してきたことに触れ、改めて謝意を表明した。

経済面では、特に半導体産業における協力に言及し、「製造力の高い台湾と、素材、設備、技術に強みを持つ日本が連携すれば、半導体分野の発展はさらに加速する」とし、産業の補完性を活かした相互利益の拡大に期待を寄せた。さらに、経済や防衛にとどまらず、教育、文化、芸術、スポーツといった人文領域においても連携を深める必要性を指摘し、中曽根局長の祖父・中曽根康弘元首相がかつて高雄・左営に駐在していた歴史にも触れ、交流の基盤が深いことを紹介した。

これに対し中曽根局長は、「毎年の訪問で総統に謁見できることを光栄に思う。台湾を訪れるたびに故郷に帰ってきたような気持ちになる」と応じた。また、「トランプ政権復帰の可能性をはじめ、世界情勢は大きく変化しており、今こそ日台の実務的・戦略的連携が重要だ」と述べた。

TSMCの熊本進出や、日本政府による1兆2500億円の補助、さらに10兆円規模の投資計画にも言及し、半導体およびAI分野での相乗効果に期待を示した。

午後には副総統が訪問団を迎えた。副総統は日台間の長年にわたる信頼関係に言及し、「自民党青年局は30年来、重要な交流の架け橋となっている。新世代の若手政治家たちが日台友好を支え続けていることを嬉しく思う」と述べた。

また、石破茂首相がトランプ大統領との会談で「現状を力で変えることには反対する」と明言したことに感謝の意を示したうえで、現在両国が直面する「米国の対等関税政策」などの経済課題についても言及。「相互利益に基づく長期的な経済関係を踏まえ、双方が積極的に協議していくべきだ」と指摘した。

副総統は特に、新興技術分野や脱炭素に向けた「二軸の転換」において、多国間の協力が競争優位の鍵になると述べ、今後のさらなる連携に期待を寄せた。

今回の訪問団には、中曽根康隆、平沼正二郎、根本拓、福田薫の各衆議院議員、神谷政幸参議院議員、日本台湾交流協会台北事務所の片山和之代表代理、服部崇副代表が参加した。接見には林佳龍外交部長、范振国台湾日本関係協会秘書長らが同席した。

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