台湾旅行市場に変化 Z世代がけん引する海外旅行ブーム、訪日熱続く イージートラベルが2025年の旅トレンドを発表

Z世代は自己表現や学びを重視し、東京やソウルなど短中距離の都市型旅行や体験型アクティビティが人気。訪日需要は依然高く、東京や大阪が上位にランクイン。(写真/イージートラベル提供)

台湾の大手旅行予約プラットフォーム「イージートラベル(ezTravel)」は、2025年の旅行トレンドを発表した。注目されるのは、Z世代による旅行スタイルの多様化と、訪日を含む近距離アジア旅行の根強い人気である。

Z世代は「冒険」や「自己表現」、「学び」の要素を重視し、旅行を娯楽にとどまらないライフスタイルや価値観の発露の場と位置づける。東京、香港、ソウル、沖縄、バンコクといった都市が特に人気で、短中距離の都市型旅行を好む傾向が鮮明だ。スカイダイビング、ダイビング、スキーといったアクティビティや、K-POPダンス体験、地元料理教室、伝統衣装の試着といった「没入型の体験」が支持されている。

訪日需要は依然として高く、2024年の渡航先ランキングでは東京、大阪、沖縄、福岡、名古屋が上位を占めた。円安と多様な観光資源がその背景にある。2025年第1四半期の予約データでは高松が成長都市として浮上し、地方都市への関心が拡大していることがうかがえる。

イージートラベルの陳志豪総経理によると、個人旅行の販売件数は団体旅行の約2倍の成長率を示し、旅行市場はかつてない自主性の高まりを見せている。2024年の台湾人の平均海外渡航回数は前年の1.87回から2.1回に増加する一方、平均支出は約4,000台湾元(約1万8,000円)減少し、消費は「戦略的」へと移行している。

2025年の有望な渡航先としては、韓国が釜山、済州島、大邱、清州、ソウルの5都市で上位を占め、韓流ブームと価格競争力が需要を後押しする。欧州ではパリ、ミラノ、ミュンヘンが注目を集め、長短距離ともに旅行先の多様化が進行中だ。

団体旅行では主要都市から地方都市へのシフトが顕著で、四国や東北地方、済州島など文化体験型ルートが人気を集めている。欧州旅行では複数国周遊型から、イタリアやスイスといった1カ国滞在型の「スロートラベル」への移行が見られる。

また、スポーツ観戦やコンサートを組み込んだ「テーマ型旅行」にも関心が集まる。イージートラベルは、中信兄弟との協業による台北ドームVIP観戦ツアーや、五月天のコンサートパッケージを展開し、旅行とエンターテインメントの融合による新たな消費体験を提案している。

創業25周年を迎えるイージートラベルは、デジタルサービスの刷新にも注力しており、最低価格通知や、LCCとフルサービスキャリアの自由な組み合わせを可能にする「スマートフライト機能」を導入。個人旅行者のニーズに応える体制を整える。 (関連記事: 台湾人の日本旅行熱が止まらない!星宇航空と星野リゾートがタッグを組んで特別企画を発表 関連記事をもっと読む

陳総経理は「ネットバブル、SARS、リーマン・ショック、コロナなど幾多の危機を乗り越えてきた。今後も変化を好機と捉え、テクノロジーを駆使しユーザー体験を向上させていく」と述べた。