「ロシア制裁」について避け続ける、エコノミスト誌が批判:トランプはプーチンに対し異常なほど軟弱だ

ロシア大統領プーチン。(AP通信)


トランプ氏は昨年の選挙戦で、多くの政治的な公約を出していた。その中には、アメリカの経済やインフレ問題を解決すること、所得税に代わって関税を導入すること、ウクライナとガザ地区に平和を取り戻すことなどが含まれていた。またバイデン氏を無能と批判し、「私が大統領であれば、これらのことは絶対に起こらなかった」と強調。しかし、トランプ氏は19日にプーチン氏と電話で2時間話したが、侵略を止めるよう要求せず、関税戦争の際の最大限の圧力をかけることもせず、ただロシアに交渉を続けるように提案しただけであった。『エコノミスト』誌は、この米国大統領を「臆病者」と批判し、プーチン氏に対して全く強硬な態度を取れないと指摘している。

『エコノミスト』は、トランプ氏はプーチン氏との通話の機会を活かせず、ロシアに戦争を終わらせるよう直接要求することができなかったと指摘している。「さらなる交渉」という提案に過ぎず、ロシアにとって有利な言い訳である。プーチン氏が停戦前に交渉を求めている間もロシア軍は緩やかに進軍しており、ウクライナはヨーロッパの支持を受けて「即時無条件停戦30日」を主張し、その後にウクライナ和平の恒久的な解決策を交渉することを求めている。トランプ氏が「ロシアとウクライナは即座に停戦に向けて交渉を開始する」と社交メディアで宣言したが、誰にとって有利かは一目瞭然である。

​ゼレンスキー氏はかつて強調した。「もしロシアが殺戮を止める準備がないならば、より厳しい制裁を実施し、ロシアに圧力をかけて本当の平和を促進しなければならない」と。しかし、ゼレンスキー氏は今年2月にホワイトハウスでトランプ氏とヴァンス氏に公然と侮辱された。先月には教皇フランシスコの葬儀でトランプ氏と長時間話し合ったが、ウクライナはアメリカと重要な鉱物資源協定を結び、3年ぶりにロシアとの直接交渉に参加したが、それに対しバイデン時代よりもより消極的な結果を得た。援助や制裁についての議論すらせず、ウクライナとロシアに直接話し合うよう求めただけである。

『エコノミスト』誌は、トランプ氏が最近「プーチンは私を軽視しているのではないか」と疑問を呈し始めたが、実際に軽視しているのは自分自身であると批判している。ロシアの強権指導者に魅了され続けるトランプ氏は、片思いに陥った者によくある三つの選択肢の間を彷徨っている:追求を倍加する、諦める、または顔を防いで敵に変わることだ。先週、イスタンブールでのロシア・ウクライナ直接交渉で停戦契約に至らなかったとき、トランプ氏は「私が直接介入しない限り行き詰まりを破ることはできない」と宣言したが、プーチン氏との通話は何も変えなかった。 (関連記事: ウクライナ苦難、アメリカは見捨てるのか? トランプがロシア・ウクライナの交渉に介入せず、ゼレンスキー「唯一の受益者はプーチンだ」 関連記事をもっと読む

通話後の声明において、トランプ氏は「通話は素晴らしかった」、および「戦争が終結した後のアメリカとの貿易の経済的利益」を強調した。『エコノミスト』誌はトランプ氏について、「弱く愚かであり、無休止な交渉は戦場でロシアがさらに前進する時間を得るためのものでしかない」と批判している。唯一の小さな慰めは、トランプ氏が今回ウクライナに最も受け入れ難い批判、「ウクライナが戦争に責任があり、ウクライナにはもはや手札が残っていない」を繰り返さなかったことである。この徒労の外交努力は、「ジョー・バイデンの戦争」を「ドナルド・トランプの失敗」に変えることになるだろう。