1970年大阪万博をきっかけに世界へ広がった「よさこい」が、この夏ふたたび万博の地に戻ってきた。8月22日と23日の2日間、大阪・関西万博のEXPOアリーナ「Matsuri」を中心に「EXPO2025 高知の祭典 WORLD YOSAKOI DAY」が開催され、国内外17チームが演舞を披露。観客参加型の総踊りも行われ、会場は熱気と一体感に包まれた。

オープニングセレモニーに登壇した高知県の濵田省司知事は、「よさこいは今、国内で200カ所以上、そして海外でも30カ国以上で踊っていただいております。この自由なよさこいが世界に受けているということだと思います。その原点が1970年大阪万博で踊られたことにあります。55年の時を経て再び大阪・関西万博で世界に向けて発信できることを大変嬉しく思います」と語り、歴史の継承と今回の意義を強調した。

会場では高知名物の街路市も再現され、県内全市町村が参加。特産品や観光資源をPRし、来場者に「SUPER LOCAL 高知」の魅力を五感で体感させた。県都・高知市は、よさこい発祥の地として万博会場でも大きな注目を集めた。毎年8月に開催される「よさこい祭り」には約200チーム、1万8000人の踊り子が参加し、街全体が熱狂に包まれる。その活気を再現するとともに、300年以上続く日曜市を紹介。高知城下に約300店が並び、食材や工芸品がそろう市の魅力を来場者に伝え、観光都市・高知の存在感を示した。
三原村は、人口1500人余りの小さな村ながら、里山の原風景が残るエリアとして紹介された。星空観察の名所としても知られ、夜には満天の星を望める環境が魅力である。観光客にとっては「静かな田舎体験」ができる場所としてPRされ、都会では味わえない癒やしの観光資源をアピールした。
四万十市は、「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川を中心に魅力を発信。沈下橋やカヌー体験、屋形船など、川とともに生きる暮らしを観光に取り入れていることを紹介した。自然と共生するライフスタイルは国内外の観光客に高い評価を受けており、万博会場でも注目を集めた。
黒潮町は、雄大な太平洋と砂浜美術館で知られる入野海岸を中心に、海辺の魅力をアピール。毎年開催される「Tシャツアート展」など文化的な取り組みや、カツオの一本釣りに象徴される漁業文化、干物や加工品といった黒潮の恵みをPRした。来場者には「海とともに暮らす町」の姿が伝えられた。
宿毛市は、世界屈指の透明度を誇る柏島の海を紹介。ダイビングやシュノーケリングなどマリンスポーツの拠点として知られ、色鮮やかなサンゴや熱帯魚が観光客を魅了している。また、四国八十八ヶ所霊場の札所・延光寺や古い港町の街並みも伝えられ、歴史と自然が共存する町の姿を打ち出した。
大月町は、足摺宇和海国立公園に位置する自然豊かな町で、大堂海岸の断崖絶壁や柏島周辺の生態系をPR。キャンプやトレッキング、カヤック体験などアウトドア観光の拠点としても注目されている。海と山に囲まれた大月町は「自然に没入できる町」として万博での来場者にアピールした。
土佐清水市は、四国最南端・足摺岬からの雄大な景観を中心に紹介。太平洋に突き出した岬からの絶景に加え、ホエールウォッチングや竜串の奇岩群など独自の自然観光資源を伝えた。さらに四国八十八ヶ所霊場第38番札所・金剛福寺を通じ、信仰と自然が調和した町の魅力を来場者に紹介し、多方面からの注目を集めた。
今回の「WORLD YOSAKOI DAY」は、よさこいを中心に高知県内全市町村が一堂に会し、文化と観光資源を一体的に発信する機会となった。踊りと街路市、食と自然を通じて、多彩な高知の魅力が世界に示された。
編集:佐野華美
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