特集》台湾・民進党に大打撃 国民党も長続きしない勝利 政界に広がる不安定

2025-08-25 14:33
726、823の立法委員リコール投票がすべて不成立に終わり、惨敗した民進党は内閣改造に着手。国民党も党内権力再編に直面している。 (写真/顏麟宇撮影)
726、823の立法委員リコール投票がすべて不成立に終わり、惨敗した民進党は内閣改造に着手。国民党も党内権力再編に直面している。 (写真/顏麟宇撮影)
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半年以上にわたり台湾政界を揺るがした大規模リコール運動は、8月23日に実施された第2波・7議席の国民党所属立法委員リコール投票の結果が判明し、ついに幕を閉じた。

第1波で行われた民進党系「726部隊」の立法委員に対するリコール投票は、24対0で全て不成立という大敗を喫し、勢いを大きく失った。その後の第2波でも、国民党議員7人の全てがリコール失敗に終わり、結果は0対7の「完封負け」となった。賛成票はあったものの、いずれも成立要件からは大きくかけ離れていた。

年初には大々的に始まったリコール運動は、最終的に「31対0」という逆転的な結果で決着。これにより、運動を共にしてきた民進党は大きな打撃を受け、国会での劣勢を覆す狙いも失敗。逆に、野党が今後2年以上、立法院で主導的地位を一層強めることとなった。

民進党と賴清徳政権にとって唯一の救いは、同日に実施された第三原発延長の国民投票だった。賛成票は7割を超え、反対票を大きく上回ったものの、成立要件の500万523票には届かず不成立。提案した台湾民衆党は国民党の支援を受けて票を集めたが、全国的な投票率の低さが響いた。

この結果、民進党は延長阻止には成功したが、それだけでは政治的な防波堤とはならず、大規模リコールでの惨敗が政権に与える衝撃を緩和するには至らなかった。投票前から経済部長の郭智輝氏、数位発展部長の黄彦男氏、教育部次長の葉秉成氏ら、党内外で議論を呼んでいた閣僚が相次いで辞任。投票後には卓榮泰行政院長が辞意を表明したが、賴総統は慰留すると同時に、政権チームで必要な人事改造を行う意向を示した。

823後,行政院長卓榮泰內閣料將進行改組。(資料照,陳品佑攝)
823投票後、卓榮泰行政院長率いる内閣は改造に踏み切る見通しだ。(写真/陳品佑撮影)

賴清德氏が内閣改造に着手 一方の国民党は党首選で混迷

リコールでの失敗により、民進党と賴政権が高い政治的代償を支払うことは避けられない。だが、勝利した国民党も安泰ではない。823のリコール投票後に始まった次期党首選びは、党内に混乱を招いている。

党内で次期党首と目され、新たな党の顔として期待された盧秀燕・台中市長は、出馬を見送る可能性が高いとされる。さらに、現職の朱立倫主席も「バトンを渡す」と繰り返し発言しており、誰が新しい党首となるのかは全く見えない。党権再編の行方はますます不透明となっている。

国民党幹部の一人は「Aクラスの有力候補が不在のまま、B、Cクラスの人物同士の争いになるのでは」との懸念を示す。盧氏が不出馬を決断するなか、代理候補を立てるのか、朱氏の続投を支持するのか、あるいは党内民主のプロセスに委ねて新党首を選ぶのか、方向性は定まっていない。このため党内には焦燥感と緊張感が高まり、党首選をめぐって各勢力が水面下で駆け引きを続けており、国民党の結束にも少なからぬ影響を与えている。 (関連記事: 特集》台湾・賴清徳総統「先進的な原子力も排除せず」 第三原発再稼働の国民投票は不成立、与野党の思惑が交錯 関連記事をもっと読む

台中市長盧秀燕(中)不選黨主席,黨內憂心若出現無A咖出戰,只剩B、C咖爭鬥的亂局,可能把成功反罷免重創民進黨,一片大好的政治局面搞砸。(資料照,陳品佑攝)
台中市長の盧秀燕氏(中央)が党首選に出馬しない場合、党内では「有力候補不在のままB、Cクラス同士の争いになる」との懸念が広がる。せっかくの反リコール勝利が無駄になるとの声も出ている。(写真/陳品佑撮影)

朱立倫氏は再び「責任」を負いたくない 盧秀燕氏に求められる明確な態

8月17日、台中市で行われた反リコール集会において、盧秀燕市長と朱立倫主席が同じ舞台に立った。盧氏は数千人の支持者を前に、朱氏の手を高々と取り上げ「市長選から議員選、そして726反リコールまですべて本塁打だった。党主席としてよくやっている。拍手で讃えるべきだ。『ママからいいね』をあげたい」と持ち上げた。この行動は直ちに党内の注目を集め、多くの人々が「盧・朱連携による朱主席続投」の可能性を見込むようになった。

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