23日に台湾で行われた第2波リコール投票で、国民党は最終的に「31対0」という完全勝利を収めた。投票後、朱立倫党主席は改めて「バトンを渡す」意向を示し、台中市の盧秀燕市長に後継を託した。しかし盧氏は24日、台中市大台中商業会の第28期理監事授証式で演説し、「私は国民党主席には立候補できない」と正式に表明した。
盧氏は、いま台湾が直面する最大の課題として「関税ショック」を挙げた。特に精密機械、工作機械、自転車など中小企業が大きな打撃を受けており、その中心地は台中だと指摘。「これらの製造業は過去半世紀にわたり台湾経済の奇跡を支えてきた。もし彼らが崩れれば、台湾経済は大きな後退に直面し、深刻な失業問題が発生し、数百万世帯に影響が及ぶ」と危機感を示した。
さらに「私はこれまでも『最も困難な時、母親は家に残る』と約束してきた」と述べた。この比喩は「母親=自分」「家=台中市」を指すもので、地元が経済危機に直面する中、市長として台中を離れず守る決意を表現したものだ。
そのうえで「その約束を守るため、国民党主席選には出られない」と改めて強調した。支持を呼びかけてきた仲間や市民に感謝の意を示しつつ、「党が必要とするなら、主席でなくても尽力する」と語った。
朱立倫主席が後継に指名したことについて、盧氏は「朱主席はこの数年、大変な苦労をされてきた」と労をねぎらった上で、「国民党は民主的な政党であり、後継は指名ではなく、意欲ある人が出馬して選ばれるべきだ」と述べた。
盧氏が出馬を否定したことで、国民党内の次期主席選びは一層流動的になった。現在、出馬を促されているのは、副主席の黄敏惠氏と連勝文氏、前副主席の郝龍斌氏と胡志強氏。
すでに立候補を表明しているのは、前立法委員の鄭麗文氏、卓伯源氏、孫文学校の張亞中総校長、中常委の孫健萍氏らである。新党首をめぐる競争は混戦模様となりそうだ。
編集:田中佳奈
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