舞台裏》台湾・国民党の朱立倫前主席が「黄復興」を解体 鄭麗文新主席の下で復活へ

2025-12-26 17:42
国民党主席の鄭麗文氏が黄復興組織の再建計画を始動し、「黄復興再造準備委員会」の設置を進めている。(写真/柯承惠撮影)
国民党主席の鄭麗文氏が黄復興組織の再建計画を始動し、「黄復興再造準備委員会」の設置を進めている。(写真/柯承惠撮影)

台湾で10月に行われた国民党主席選挙は、元立法委員の鄭麗文氏の当選で幕を閉じた。しかし、この選挙の過程と結果、さらには誰が立候補し、誰が身を引いたのかという構図を左右した最大の要因の一つが、前主席・朱立倫氏による「黄復興党部」廃止の決断だった。朱氏は2024年3月、国民党内で唯一残っていた特種党部である黄復興党部の廃止を正式に決定した。これは長年タブー視されてきた措置であり、深藍と呼ばれる保守強硬派から激しい反発を招いた一方、党内、とりわけ過去に党中央を率いた経験を持つ重鎮層からは一定の支持も集めた。

しかし代償は大きかった。朱氏は深藍系団体から「裏切り者」とまで激しく非難され、退役軍人向けの新組織を立ち上げても怒りは収まらなかった。党主席選への出馬を検討していた時期、投票権を持つ深藍系党員の反発の強さを前に、朱氏は最終的に立候補を断念する。この余波は、朱氏と直接関係のない人物にも及んだ。故・郝柏村元参謀総長の息子で、台北市長を務めた郝龍斌氏は、黄復興廃止とは無縁だったにもかかわらず、選挙戦の中で「廃止の責任」を負わされ、軍系票を大きく失う結果となった。これが敗因の一つになったと見る関係者は少なくない。

20230902-国民党主席朱立倫2日出席国民党黄復興党部慶祝九三軍人節退役勲旧袍澤联谊。(柯承惠摄)
朱立倫氏(中央)は国民党主席在任中に黄復興党部の廃止を決定し、党内の保守派から反発を招いた。(写真/柯承惠撮影)

歴代主席が「考えただけ」で終わった決断を、朱立倫は実行した

黄復興党部の廃止は、実は朱氏以前の歴代主席も一度は検討したテーマだった。しかし、実際に手を付けた者はいなかった。黄復興は強固な動員力を持ち、党内選挙においても無視できない影響力を有していたからだ。それでも廃止論が消えなかった理由は大きく二つある。一つは、黄復興党員の党籍管理が地方党部とは別系統で行われ、党内に「二重構造」を生んでいた点。もう一つは、財政難が続く国民党の予算の中で、黄復興党部が全体の3分の1から4分の1を占め、他の重要部門の運営を圧迫していた点だ。

12月15日、国民党は「黄復興再造準備委員会」の初会合を開催した。鄭麗文氏は席上、「再造の目的は党に貢献することであり、混乱を持ち込むことではない」と強調。過去の栄光に浸るのではなく、現在の厳しい現実を直視する必要があると訴えた。再造には党内の結束と継続的な努力が不可欠であり、全体の状況を正しく認識しなければ、内部対立や外部からの批判を招くだけだと指摘。問題から目を背けず、一つずつ解決し、困難な中でも成果を積み重ねていくことで、将来の選挙で有権者の信任を得るべきだと語った。 (関連記事: 舞台裏》台湾・国民党のネット戦、朱立倫氏が主導権 鄭麗文氏チームは苦戦 関連記事をもっと読む

鄭麗文はまた、黄復興の精神は引き継がれ、生まれた世代や若い幹部を中堅から育成し、参加を通じて学びながら、実践を通じて認識を築き、世代交代を達成し、組織の持続可能な発展を確保すべきだと強調した。時間が迫る中で、謙虚で現実的かつ堅実な態度を貫き、共通の信念と価値を持って共に戦うことこそが黄復興の再造を成功させ、党内の最も堅実で信頼できる核心勢力となる」と述べた。

鄭氏はさらに、黄復興の精神そのものは継承されるべきだとし、中堅世代や若手、青年層の幹部育成を重視する方針を明確にした。参加を通じて学び、実践の中で組織への帰属意識を育て、世代交代を進めることで、持続可能な組織を築く必要があると強調した。
「時間は限られ、責任は重い。謙虚さ、現実性、そして粘り強さを持ち、共通の価値観のもとで共に前進してこそ、黄復興の再造は成功し、党内で最も堅実で信頼できる中核勢力になれる」と述べた。

20251224-国民党主席鄭麗文24日於中常会で話をする。(颜麟宇摄)
鄭麗文氏(写真)は国民党主席選の公約の一つとして、黄復興組織の復活を掲げていた。(写真/顏麟宇撮影)
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