台湾の賴清德総統は23日、来台中の鈴木馨祐衆議院議員(前法務大臣)、長島昭久氏(石破茂前首相補佐官)、神田潤一氏(前法務大臣政務官)一行の表敬訪問を受けた。鈴木氏は会談の中で、「台湾有事は日本有事だ」と強調し、台湾での武力による現状変更は断じて容認できないと述べ、日本として抑止力を強化し、台湾への協力と予防に全力を尽くす考えを示した。
鈴木氏は、台湾と日本はいずれも地政学的に重要な位置にあり、中国からさまざまな形の圧力を受けていると指摘。「台湾有事を決して起こさせてはならないし、武力による現状変更も絶対に許されない。そのためには抑止力を高め、確実に抑止が機能するようにする必要がある」と述べた上で、日本はその信念の下、可能な限りの支援と協力を行うと語った。
これに対し頼総統は、訪台団が「極めて重要な時期」に台湾を訪れ、具体的な行動で台湾への重視と支持を示したことに謝意を表明した。特に鈴木氏が法務大臣在任中に推進した制度改正に触れ、2025年5月26日から日本在住の台湾人が戸籍の「国籍・地域」欄に「台湾」と表記できるようになった点について、「台湾人の権益を保障すると同時に、日台友好関係を象徴する措置だ」と高く評価した。
頼総統はまた、台湾と日本は長年にわたり自然災害や感染症などの危機に共に対応してきたとし、両国が地震多発地帯である環太平洋地震帯に位置し、第一列島線の要衝でもある点を指摘。権威主義の拡張や世界的な経済・貿易環境の変化といった課題に直面する中で、今後も協力を深化させる必要性を強調した。日台が連携することで、地域の平和と安定を守るだけでなく、共通の繁栄を創出できるとの認識を示した。
さらに頼総統は、AIの急速な発展に言及し、台湾が強みを持つAI、半導体、情報通信分野と、日本の技術力や制度的優位性を組み合わせることで、より安全で強靱な産業システムを構築できると指摘。地域経済やグローバルサプライチェーンの安全保障に一層貢献できるとして、今後の多角的な日台協力への期待を示した。
鈴木氏は冒頭、台北で発生した無差別襲撃事件の犠牲者に哀悼の意を表し、負傷者の早期回復を祈念した。また、台湾が日本産食品に関する管理措置を正常化したことや、日本が中国から圧力を受ける中で台湾市民が行動で日本を支持したことに触れ、「台湾は日本にとって真の友人だ」と感謝の言葉を述べた。
鈴木氏は、高市内閣の発足から2か月が経過したことに触れ、政権として日台関係の重要性を繰り返し強調していると説明。台湾と日本は普遍的価値を共有する「運命共同体」であり、台湾は日本にとって極めて重要で貴重なパートナーだと述べ、地域全体の平和と安定を維持していく必要性を訴えた。
会談の締めくくりで鈴木氏は、「台湾有事を絶対に起こさせない」という強い決意を改めて表明し、日本は抑止力の強化を通じてその実現を図ると強調。頼総統の力強い指導の下で台湾がさらなる発展を遂げ、日台関係が一層深化することに期待を寄せた。
台湾の蕭美琴副総統は23日午前、来台中の「日本前法務大臣・鈴木馨祐衆議院議員一行」と会見し、近年の日台関係が安定的に発展しているとした上で、経済・貿易、投資、サプライチェーン協力、地域の地政学的課題などを巡り、引き続き交流と協力を深化させ、地域の課題に共に対応していきたいとの考えを示した。
蕭副総統は冒頭、鈴木馨祐衆議院議員と再会できたことを喜ぶとともに、長年にわたる台湾への友情と支持に感謝の意を表した。その上で、日台双方は共有する価値観や地域の安定と繁栄を守るという共通の利益の下、多くの分野や課題において高い共通認識を有していると指摘した。近年、さまざまな挑戦に直面する中にあっても、日台関係は堅調に発展しており、経済・貿易往来、投資協力、サプライチェーンの連携、さらには重要な地域の地政学的課題についても継続的に意見交換が行われていると述べた。最後に、訪台した一行に謝意を示すとともに、関連する重要な議題について、より踏み込んだ意見交換ができることへの期待を示した。
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編集:小田菜々香


















































