「中国を抑圧、支配、屈辱させるつもりはない...」アメリカ国防総省の『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が示す米中関係の定位

2025-12-25 11:15
2025年『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』の表紙。(画像/米国国防省サイト提供)
2025年『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』の表紙。(画像/米国国防省サイト提供)

アメリカ合衆国国防総省は23日、米議会に提出した2025年版「中国の軍事・安全保障の発展に関する報告書」(通称『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』)を公表した。報告書は、ワシントンが中国に対して強硬な戦略を採っているわけではないと強調する一方で、北京による「前例のない」軍事拡張が米国本土の脆弱性を高めており、中国人民解放軍の軍事力は「米国国民の安全を直接脅かし得る水準」に達していると指摘した。

ただしアメリカ合衆国国防総省は、「われわれは中国を締め上げたり、支配したり、屈辱を与えたりする意図はない……目的は、インド太平洋のいかなる国であれ、米国や同盟国を支配することを阻止することにある」と強調している。

米国の国防省は報告書の中で、中国の現在の軍事的な重点は「第一列島線」に置かれており、北京もこの地域を戦略の中核と位置づけていると指摘した。その一方で、北京が国力を高め続けるにつれ、中国の軍事力も今後さらに拡大し、世界規模で戦力を投射できる軍隊を目指していると分析している。

こうした動きは、中国が2049年までに「世界一流」の軍隊を建設するという目標と一致しており、米国の国防省は、この分野において人民解放軍がすでに目覚ましい成果を上げているとの見方を示した。

米中軍事関係は史上最高?

報告書は、ドナルド・トランプ氏の指導の下で米中関係はこれまで以上に安定していると強調した。その上で、国防総省はこの基盤を踏まえ、人民解放軍との幅広い軍事交流を通じて目標の達成を図り、戦略的安定に目を配りながら、衝突の回避に努めているとした。米国は平和の意思を明確に示す一方で、インド太平洋地域で国益を守れるよう、軍事力を常に即応可能な状態に保ち、必要な能力を確保しているとも述べている。

米国の国防省はまた、米国のインド太平洋における利益は「根本的なもの」だが、同時に「範囲が限定され、合理的なもの」だと説明し、「中国を締め上げたり、支配したり、屈辱を与えたりする意図はない」と強調した。さらに「トランプ氏の『国家安全保障戦略』が示す通り、われわれが求めるのは、インド太平洋のいかなる国であれ、米国や同盟国を支配できるような力を持つことを阻止することに尽きる」とし、そのためには米軍が十分に強くなり、侵略が選択肢として検討されること自体を許さない状態をつくることで、「平和が第一の選択肢となる」との考えを示した。戦争省は、対立ではなく実力に基づいて、インド太平洋での抑止力を強化することを優先するとしている。

報告書はさらに、トランプ氏が中国との間で、安定した平和、公正な貿易、相互尊重に基づく関係の構築を目指しているとした上で、戦争省の役割は、そうした目標を「軍事的優位に立った立場から」実現できるようにすることだと位置づけた。そして「権力の均衡を築き、維持することで、誰もがインド太平洋で尊厳ある平和を享受できるようにする。そこでは貿易が開かれ、公正に行き交い、私たち全員が繁栄し、すべての国の利益が尊重される」と述べている。

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