日中関係が冷え込みを見せる中、中国メディアでは近ごろ、「日本の利上げが金融市場を崩壊させる」「世界的な金融危機を引き起こす」といった危機感を煽る論調が相次いで発信され、注目を集めている。
これについて、財訊メディアグループ董事長の謝金河氏は、自身のフェイスブックで見解を示し、「日本経済は正常化の道を歩んでおり、今回の利上げは極めて妥当なものだ。一方で中国は下り坂にあり、不動産バブルの調整はまさにこれから始まろうとしている。住宅を売却しても、なお債務を返済できない人が続出している」と指摘した。
謝氏によれば、12月以降、中国ではネット配信プラットフォームを通じて、「日本の利上げがウォール街を血の海に沈める」「円の利上げで世界経済が崩壊する」「日本が利上げすれば、3種類の資産を売却しなければならない」といった、まるで世界の終末を思わせる恐怖訴求が一斉に流されてきたという。その論調は驚くほど足並みがそろっており、同じ号令を吹き鳴らしているかのようで、台湾の一部経済専門家までもがこれに同調した。
しかし、日本銀行は18日、ついに政策金利を0.25%引き上げ、コア金利を0.75%とした。日銀の利上げにもかかわらず、世界の株式市場は下落するどころか、むしろ全面高となり、円相場も大幅な円高にはならなかった。
謝氏は、「恐怖の演出が効かなかったことを受け、中国のネット配信では最近になって論調が一転した」と指摘する。「日本が利上げすれば中国は飛躍する」「日本の利上げが中国を押し上げる」といった主張が出始め、さらには円が上昇せず、むしろ下落した点を取り上げて騒ぎ立てているという。
こうした言説の背景には、中国の論評者たちが、日本が昨年8月に初めて利上げを行った際、株価が4451ポイント下落し、下落率12.4%を記録したこと、また円相場が161.96円から139.58円へと急騰したことを強く印象づけている事情がある。
謝氏は、「今回も日本銀行が利上げすれば、前回と同様の大混乱が起きると彼らは考えていたのだろう」と述べる。しかし実際には、昨年のゼロ金利政策終了時に生じた資金移動こそが最大の衝撃だったのであり、現在の日本では、個人も企業もバブル的な要素をすでに整理し終え、財務状況は健全化している。日本経済は正常化の過程にあり、今回の利上げは極めて合理的なものだという。
日銀自身も、利上げが市場に過度な衝撃を与えないよう、事前に十分な予告を行ってきた。その結果、市場では今回の利上げが「悪材料出尽くし」と受け止められ、株価はむしろ大きく上昇した。
謝氏はさらに、「今後、日銀の政策金利は1.5%に向かって進む可能性があり、少なくともあと3回の利上げ余地がある」と分析する。日本の10年国債利回りは2.072%で、中国の1.84%をすでに上回っている。日本の30年国債利回りは3.436%に達し、米国の30年国債との利回り差も1.4ポイントにまで縮小した。一方、中国の30年国債利回りは2.23%にとどまり、中国の金利は一貫して低下を続けている。
この状況は、1990年以降の日本が経験した「バランスシート調整期」と極めてよく似ていると謝氏は指摘する。「日本は、長年背負ってきたデフレのバトンを、いま中国に手渡そうとしている」。
中国における不動産バブルの調整は、これからが本番であり、多くの人が住宅を売却してもなお、借金を返しきれない状況に直面している。
「今回の日本の利上げを、中国がこれほどまでに神経質に注視しているのは、その裏返しだ」と謝氏は述べる。「多くの人々が本当に不安に思っているのは、日本ではなく、自分自身がこれから直面する未来なのだ」。
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編集:梅木奈実

















































