米国務長官、対中協力の余地示す 「日本との同盟堅持」も強調 米外交は国益重視へ再調整

2025-12-22 16:47
2025年10月30日、中国の習近平国家主席と米国のトランプ大統領が韓国・釜山で会談した。会談には米商務長官のルートニック氏、ルビオ国務長官も同席した。(写真/ホワイトハウス公式サイトより)

年末のワシントンで行われた記者会見の場で、米国務長官のマルコ・ルビオ(Marco Rubio)氏は、この1年の米国外交を体系的に総括した。議題は、ガザ戦後の枠組み、ロシア・ウクライナ和平交渉、「台湾有事」をめぐる中間の緊張、さらにはベネズエラを含む西半球全体の麻薬組織との戦いにまで及んだ。

その中でルビオ氏は、「国際秩序」はすでに外交の最優先事項ではなくなり、米国の対外政策は「米国の国益」を基準に再調整されなければならないと明言した。かつては著名な「対中強硬派」として知られたルビオ氏だが、この日は中国共産党との協力に期待を示し、米中間の摩擦をいかに管理し、均衡させるかが重要だとの認識を示した。

米外交の原点は「国益」 三つの指標が基準

ルビオ氏は冒頭、米国外交の核心原則について、「国家利益」という一点に立ち返る必要があると強調した。その判断基準は三つ、米国をより安全にするか、より強くするか、より繁栄させるかであり、少なくとも一つを満たし、できれば三つすべてを満たすべきだと述べた。

冷戦終結後に積み重ねられてきた国際制度や外交政策の前提については、「もはや存在しない世界を前提に構築されている」と批判。トランプ大統領が再選された背景には、この外交思考全体を「再調整(recalibration)」するという国民的な委任があると位置づけた。

この再調整には、いくつかの重要な柱がある。

第一に、「国家利益」を抽象的な理念から、具体的な運用基準へと転換することだ。地理的な優先順位や政策課題の優先順位を明確にしなければならない。ルビオ氏は「地球上で最も裕福で強力な国であっても、資源と時間には限りがある」と述べた。

第二に、国務省および国家安全保障体制の再編である。地域局や在外公館を単なる執行機関ではなく、政策の優先順位や手段選択に関与する意思決定主体として位置づけ直す。その中でも、対外援助を「人道的慈善活動」と切り離された別世界のものではなく、明確な外交ツールとして統合することが重視されている。

この枠組みの下で、ルビオ氏は対外援助について「納税者の資金であり、慈善家の寄付ではない」と改めて強調し、米国の外交戦略に資するものでなければならないと述べた。

ガザ停戦と「平和理事会」 三段階構想はトランプ任期を超える長期戦

ガザ戦後の構想について、ルビオ氏は、トランプ大統領が仲介した停戦を「誰も実現できるとは信じていなかった奇跡」と表現した。爆撃を止め、生存していた人質の全員解放と、遺体のほぼ全回収を実現した点を評価した。

ただし、これは長い道のりの出発点にすぎないとも率直に語った。「平和は感情ではなく、動詞だ。毎日、新たな課題が生じる」と述べ、停戦後の困難さを強調した。

ホワイトハウスが描く青写真は、三つの段階に分かれている。
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第1段階:停戦枠組みと「平和理事会」

第1段階は、停戦合意の初期枠組みを完成させることだ。その中核として、多国間で構成される「平和理事会(Board of Peace)」と、日常統治を担う「パレスチナ技術官僚チーム」の設置が含まれる。

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