台湾・台北駅で相次ぐ攻撃事件、煙幕弾投擲と刃物襲撃 1人死亡・8人負傷 警察は「テロ」レベルで捜査

2025-12-19 20:38
台湾時間12月19日夕方5時24分から5時30分ごろにかけ、台北駅周辺および台北メトロ台北駅の出入口付近で、相次いで無差別襲撃事件が発生した。(写真/警政署提供)
台湾時間12月19日夕方5時24分から5時30分ごろにかけ、台北駅周辺および台北メトロ台北駅の出入口付近で、相次いで無差別襲撃事件が発生した。(写真/警政署提供)

台湾時間12月19日夕方午後5時24分から5時30分ごろにかけ、台北駅周辺および台北メトロ(台北捷運)台北駅の出入口付近で、相次いで無差別襲撃事件が発生した。複数の初期情報によると、台北駅・板南線(ブルーライン)のM7出口付近で、容疑者が煙幕弾とみられる物体を投擲した疑いがあり、現場では爆発音が響き、濃い煙と強烈な刺激臭が急速に拡散した。

ラッシュ時間帯と重なったため、群衆は緊急避難を余儀なくされ、混乱の中で「火事だ!」と叫ぶ声も上がり、駅構内外では一時、押し合いや逃走が発生した。現場は交通の要衝に位置することから、警察は本件を重大な公共安全事件として対応し、「テロ攻撃」レベルの警戒態勢で捜査に着手した。

【12月19日20時20分時点の続報】
軽傷・重傷を含め8人が負傷した。このほか、40歳の男性1人が、容疑者が投擲した凶器を防ごうとしたとみられ、搬送先の病院で治療を受けたが、傷勢が重く死亡した。

煙が拡散し、ホームの列車が一時通過扱いに

今回の「テロ攻撃」による煙は、駅外の連絡通路にとどまらず、隣接する出入口へと流れ込み、さらには板南線(ブルーライン)台北駅のホーム階にも影響が及んだとされる。現場に居合わせた市民は「匂いが非常に刺激が強く、マスクをしていても全く防げなかった」と証言しており、煙の刺激性と影響範囲の大きさがうかがえる。

台北メトロによると、台北駅・板南線(ブルーライン)のホームは一部で煙の影響を受け、運行管理センターはSOP(標準作業手順)に基づき、一時的に一部列車を通過扱いとした。煙が消散した後、通常停車に戻ったという。地下鉄は高密度の人流空間であり、意図的に煙を発生させる行為は短時間で恐慌を拡大させる恐れがあることから、警察が本件を「テロ攻撃型事案」として位置づけた理由の一つとなっている。

容疑者の実名・身元は

台北市の蔣萬安市長は夕方、現場に急行して指揮を執り、容疑者は同日午後5時30分ごろ、台北駅および中山駅で相次いで煙幕弾を投擲し、刃物で人を負傷させたと説明した。台北メトロはすでに緊急対応メカニズムを起動し、乗客の避難誘導に協力しており、列車の運行は段階的に回復しているが、警戒および巡回は全面的に強化されるという。

蔣市長によれば、事件に関与した容疑者は本国籍の27歳の男、張文容疑者と特定されており、兵役妨害事件で指名手配中だった。犯行後、容疑者は中山駅周辺の誠品商場に逃げ込み、転落して病院に搬送された。関連する事件の経緯や犯行動機については、警察が引き続き調査中であり、市政府が統一して対外説明を行う方針だとしている。

卓榮泰行政院長が現場入り 警察に徹夜での追跡捜査を指示

卓榮泰・行政院長は同日夕方、台北駅に急行し、台北メトロ台北駅および中山駅で発生した、容疑者による火炎瓶・煙幕弾投擲と負傷者を伴う重大事件について説明を行った。 (関連記事: 切りつけられたバイク運転手は無事だったのか 台北駅・中山駅の無差別襲撃、死者4人に 被害者一覧 関連記事をもっと読む

卓氏によると、警察はすでにマスクを着用した容疑者の外見や行動特性を把握しており、初動の分析では、容疑者は午後5時25分ごろ、M7およびM8出口付近で意図的に5~6個の火炎瓶または煙幕弾を投げたとみられる。また、所持していたスーツケースからも一定数の関連物品が発見されており、通行人に危害を加える明確な意図があったと判断されている。

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