若者失業率は全体の3倍水準に 「ネズミ人間」拡大、海外メディアが見る中国経済の「ひび割れ」

2025-12-18 17:39
中国国家統計局が公表した最新データでは、社会消費品小売総額の伸び率が2022年以降で最低水準まで落ち込み、16〜24歳の若年失業率は17.1%と、全体失業率の3倍超に達している。(イメージ/AP通信)
中国国家統計局が公表した最新データでは、社会消費品小売総額の伸び率が2022年以降で最低水準まで落ち込み、16〜24歳の若年失業率は17.1%と、全体失業率の3倍超に達している。(イメージ/AP通信)

中国の11月の経済動向は明らかに弱まっており、内需停滞の圧力が再び表面化している。中国国家統計局が発表した最新データによると、社会消費品小売総額(小売売上高)の伸び率は2022年以来の最低水準に落ち込んだ。投資や不動産関連の指標も悪化を続けており、経済の回復力が輸出に過度に依存している実態が浮き彫りとなっている。

11月の小売売上高は前年同月比1.3%増にとどまり、10月の2.9%から大幅に減速した。消費の体温計とされるこの指標は6か月連続で鈍化しており、2020年以降で最長の減速記録となった。工業生産は4.8%増を維持したものの、勢いは衰えている。また、固定資産投資や不動産開発投資の減少幅は拡大し、主要70都市の平均住宅価格の下落も深刻化している。好調な輸出だけでは、内部構造の疲弊を隠しきれない状況だ。

構造的苦境と消費マインドの冷え込み

構造面から見ると、今年の中国経済が年初の予想を上回る成長を見せたのは、主に輸出の支えによるものだ。今年1~11月の貿易黒字は記録的な1兆ドル(約150兆円)に達し、米国の関税引き上げ後も中国の輸出主導の地位が強固であることを示した。しかし、生産者物価指数(PPI)は3年以上もマイナス圏にあり、企業の収益力と需要の回復が極めて弱いことを反映している。

国際通貨基金(IMF)は、中国の経済規模があまりに巨大なため、長期にわたって輸出に依存した成長を続けるのは困難であると警鐘を鳴らしている。製造業の過度な集中は、さらなる貿易摩擦を引き起こす懸念があるためだ。IMFは中国に対し、経済のエンジンを国内消費へ明確に転換するよう促しているが、現実には2024年に前倒しで実施された消費補助金政策の効果は薄れつつあり、それに代わる新たな成長の動力は見当たらない。

「ネズミ人間」現象の拡大 若者世代が書き換える中国経済

消費面で最も警戒すべき変化は、若者世代の行動と心理に現れている。米『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、自らを「ネズミ人間」と呼ぶZ世代が、中国の都市部で新たな常態になりつつあると報じた。SNSで累計数十億回も閲覧されているこの言葉は、「狭い部屋に引きこもり、社交を避け、ベッドの上で長時間スマートフォンを眺めて過ごす」若者を指す。

安徽省の20歳の大学生は、毎朝10時に起きてから数時間を布団の中で過ごし、食事は安価なデリバリーで済ませ、寮のベッドをカーテンで仕切って「ネズミの巣」と自嘲している。こうしたライフスタイルが共感を呼ぶのは、彼らが単に怠惰だからではなく、努力に対する現実の報酬があまりに少ないことへの深い絶望の表れである。

「努力が報われない」絶望の累積

「ネズミ人間」現象を理解するには、中国の若者が直面する構造的な圧力を無視できない。2024年7月時点での16~24歳の若者失業率は17.1%に達しており、約6人に1人が失業している計算になる。これは全体失業率の3倍以上の水準だ。運よく職を得たとしても、長時間労働と激しい競争、そして低賃金という「過当競争」環境が、若者から未来への希望を奪っている。

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