破産寸前からAIの頂点へ エヌビディアCEOジェンスン・フアン氏が『フィナンシャル・タイムズ』2025年「今年の人」に選出

NVIDIA・CEOのジェンスン・フアン(黃仁勳)​氏(左一)、COOのDebora氏(右二)が8日に2025年のTSMC運動会に出席。(写真/顔麟宇撮影)
NVIDIA・CEOのジェンスン・フアン(黃仁勳)​氏(左一)、COOのDebora氏(右二)が8日に2025年のTSMC運動会に出席。(写真/顔麟宇撮影)

英紙『フィナンシャル・タイムズ』は12日、2025年の「今年の人」を発表し、33年にわたりNVIDIA(エヌビディア)のCEOを務め、現在はAI人工知能の重要な推進役を担うジェンスン・フアン(黃仁勳)氏がこの栄誉を獲得した。『フィナンシャル・タイムズ』は、フアン氏が牽引するAI熱が米国経済を支え、株式市場の繁栄を維持し、さらには世界経済の姿を作り替える可能性さえあると強調し、AI変革の中で重要な役割を果たしている台湾移民の子である同氏を2025年の年間人物に選んだ。

フィナンシャル・タイムズによると、NVIDIA(エヌビディア)は現在、世界で最も高い市場価値を持つ企業であり、今年は一時的に史上初の5兆ドルを超える企業価値に達した(現在の価値は4.26兆ドル)。フアン氏の純資産は1600億ドルを超え、世界のトップ10の富豪に名を連ねている。多くのアナリストが現在の評価を「過大」と見なしているにもかかわらず、NVIDIAの株価が半減したとしても、このAIの巨人の市場価値は2021年末の三倍を維持する。

しかしフアン氏は、テクノロジー分野におけるいかなる優位性も非常に脆弱であると常に警告している。中国半導体メーカーのファーウェイ(Huawei)は、先進的なチップ設計で注目すべき進展を遂げており、Googleを筆頭とする大手テクノロジー企業も自社のチップを開発し、NVIDIAの市場を取り除き、さらにはNVIDIAの支配を脱却しようとしている。しかし、ChatGPTが登場してから3年後も、NVIDIAはAIチップ製造分野での優位性を驚くべき回復力で示している。

AIチップとデータセンター

フィナンシャル・タイムズによると、チップはデジタルの世界では長らく評価されていなかったが、人々はそれらが駆動するデバイスや、チップを介して動作するさまざまなデジタルサービスに注目する傾向がある。しかし今年、チップ(特にAIチップ)がビジネスと金融の世界を席巻するAIブームの背後に潜む重要な推進力となっている。フアン氏はフィナンシャル・タイムズに対し、「私たちはこの技術の発明に30年の時間を費やした。そして今、これはコンピューター分野全体を根本的に変えようとしている。私たちは新しい産業を築き、この産業はデジタル知性を生み出すだろう」と語った。

2025年もまたデータセンターが本格的に注目を集める年になり、将来のAI需要を満たすため、テクノロジー大手は大規模な計算設備の建設競争に迅速に乗り込み、このデータセンターの建設が低迷している経済において一つの大きなハイライトとなり、さらに米国のGDP成長の重要な推進力となっている。AIチップの主要な供給者(データセンター総コストの約半分はAIチップ購入に充てられている)として、NVIDIAの業績も急上昇している。 (関連記事: トランプ氏、NVIDIAのH200対中輸出を許可 売上25%を米政府に納付 中国は購入に動くのか 関連記事をもっと読む

AIバブル論

批評家は、フアン氏が顧客を含む他のAI企業に投資を決定したことを、一種の非常に危険な循環取引であり、最終的に破裂するAIバブルを膨らませ続ける可能性が高いと見ている。OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)もそのリスクについて警告したことがある。しかし、フアン氏はこの動きを、より広範なAIエコシステムを育成する重要なモデルとして描写している。フアン氏は、NVIDIAの投資は「数十億ドル規模」であることを認めており、NVIDIAは将来数年でOpenAIに1000億ドルの投資を計画しているが、彼は「NVIDIAの事業規模は数千億ドルに達しているため、実際のところNVIDIAの投資規模は非常に小さく、全体の需要に顕著な影響を与えるには不十分であり、ほとんど顧客の購買需要を満たすことはできない」と主張している。

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