日本最大の都市ガス供給会社である東京ガスは、海外市場への投資を一段と拡大している。笹山晋一社長はこのほど、今後3年間で計上している海外投資予算3,500億円のうち、半分以上を米国市場に振り向ける方針を明らかにし、中長期的な事業成長を支える中核エンジンとして位置付けていると述べた。笹山氏は、北米を東京ガスの海外戦略における「最優先地域」と定義しており、投資はシェールガスの上流資産、液化天然ガス(LNG)のサプライチェーン、成長余地のあるエネルギーインフラに重点的に配分されるという。
東京ガスは昨年10月、中期投資計画を公表し、2029年3月期までの数年間で総投資額を最大1兆3,000億円とする方針を示した。このうち海外事業が大きな比重を占め、米国のシェールガス開発および関連プロジェクトに充てる投資額だけで3,500億円に上る。これは、投資ポートフォリオを見直し、北米のエネルギー市場への関与と支配力を高めようとする同社の姿勢を示している。
東京ガス、上流開発の軸足を米東テキサスに
笹山氏はロイター通信のインタビューで、米国国内のガス需要は近年、データセンター、人工知能(AI)向け演算、半導体製造といった電力多消費型産業の急速な拡大を背景に増加しており、発電用天然ガス需要を押し上げていると指摘した。また、米国は世界有数のLNG輸出国であり、輸出需要も拡大傾向にあることから、北米市場は需給両面で魅力的だと説明した。
同氏によると、東京ガスは近年、上流投資を米国東テキサスのシェールガス鉱区に集中させており、コスト競争力の向上を図ってきた。今後は、これらの資産の開発と運営効率の改善に注力し、収益性の向上を目指す方針だという。
既存のシェールガス投資に加え、東京ガスは条件が整えば、液化プラントへの出資や長期ガス調達契約の締結も視野に入れ、上流から最終需要までのサプライチェーン構築を強化する考えだ。同社は近年、米国のシェールガス市場での存在感を明確に高めており、2023年末にはテキサス州とルイジアナ州にまたがるRockcliff Energyを買収。今年4月には、米石油大手シェブロンから東テキサスの天然ガス資産の70%の権益を取得し、資源基盤の拡充と生産量の確保を進めている。
LNG調達については、東京ガスは日本で2番目に大きいLNG購入者であり、ロシアのサハリン2プロジェクトと年間約110万トンの長期契約を維持している。日本政府は米国の対ロ制裁に関する免除措置に基づき、同プロジェクトからのLNG輸入を引き続き認めているが、この免除措置は12月19日に期限を迎える。東京ガスはすでに当局に対し、免除の延長を要請している。
制裁免除が完全に終了する可能性は低いと判断
制裁免除の見通しについて笹山氏は、現時点の情勢から判断すると、免除が「完全に終了する可能性は高くない」との見方を示し、短期的に供給が途絶するリスクも「極めて低い」と述べた。ただし、西側諸国からの批判が徐々に強まっていることは認めたうえで、サハリン2プロジェクトは日本を含む輸入国にとってエネルギー供給の安定性を支える重要な存在だと指摘し、日本政府と緊密に連携しながら今後の動向に対応していく考えを示した。
同社の資料によると、2025年3月31日までの会計年度における東京ガスのLNG調達量は1,156万トンで、その約半分がオーストラリアからの供給だった。オーストラリア政府が近く公表する予定の天然ガス市場レビューでは、東海岸からのLNG輸出に制限が課される可能性があり、影響が注目されている。これについて笹山氏は、東京ガスが参画している豪州のプロジェクトの多くは東海岸以外の地域に分散しており、供給源の多様化が進んでいるため、潜在的な影響は限定的になるとの認識を示した。
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編集:小田菜々香


















































