トップ ニュース トランプ大統領、巨額投資の成果を強調も2026年中間選挙には不安示す「予測できない」
トランプ大統領、巨額投資の成果を強調も2026年中間選挙には不安示す「予測できない」 ドナルド・トランプ米大統領は13日、ホワイトハウスの大統領執務室で米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』の取材に応じた。自身が主導して米国に数十億ドル規模の投資を呼び込んだ成果を強調し、これらの資金が米国経済の転換を後押しするものだと自賛する一方で、そうした実績が2026年の中間選挙で共和党に政治的利益をもたらすかどうかについては「予測できない」と率直に語り、来年の選挙戦が厳しいものになる可能性を認めた。
2026年の中間選挙は、現職大統領の政権運営に対する評価が下される「中間テスト」の役割を果たす。その局面を前に、トランプ氏は珍しく自信のなさをのぞかせた。
共和党が来年11月の選挙で下院の過半数を失う可能性について問われると、トランプ氏は「それは分からない。これらの資金がいつ実際に動き出すのか分からないからだ」と述べた。さらに、「(巨額の投資が)有権者の実感とどう結びつくのか私にも分からないし、これらの資金がいつ効果を発揮するのかも分からない」と語り、実績と民意の間に隔たりがあることを示唆した。
トランプ政権下で米国経済は全体として成長を続けているが、その恩恵が広く国民に平等に行き渡っているとは言い難い。雇用の伸びは鈍く、失業率は上昇傾向にあり、日用品や生活関連サービスの価格は上がり続けている。多くの米国人が、政府が示す好調な経済指標と自身の生活実感との間にギャップを感じ始めている。
経済状況はトランプ氏が2024年の大統領選挙に勝利した大きな要因だったが、ホワイトハウス復帰後、経済政策に対する有権者の不満は徐々に強まっている。トランプ氏は「物価は下がる」と主張する一方で、「すでに物価は下がった」とも述べるなど、発言には揺れが見られる。
現在のインフレについては民主党とバイデン前政権に責任があるとし、「あと数カ月すれば物価状況はかなり良くなるはずだ」「私は歴史上、最も偉大な経済をつくり上げたが、人々がそれを理解するには時間がかかるかもしれない」と語った。
WSJ紙によると、トランプ氏が再び大統領に就任してから間もなく1年が経過するものの、支持率は低迷したままだという。特にインフレや物価高への対応に対する不満が、世論調査の数字を押し下げている。
先月行われた地方選挙で共和党が大敗したことも、民意の風向きを示す兆候と受け止められており、党内の戦略家たちは、来年の中間選挙でさらなる逆風に直面する可能性を警戒している。民主党側も、トランプ政権の経済政策を来年の選挙戦における核心的争点に据える構えだ。
WSJ紙はまた、歴史的に見ても現職大統領の政党が中間選挙で苦戦する傾向が強く、第二次世界大戦後に下院議席を減らさずに済んだのは、1998年のビル・クリントン政権と2002年のジョージ・W・ブッシュ政権の2例に過ぎないと指摘している。
中間選挙の試練を見据え、ホワイトハウスは減税の延長・拡大、連邦規制の撤廃、国内エネルギー生産の拡大、企業の国内回帰(リショアリング)促進など、一連の経済政策を打ち出している。トランプ氏は、新たに締結した貿易協定によって貿易赤字を減らし、海外サプライチェーンへの依存を低下させ、米国に大きな富をもたらすと強調する。一方で、先月にはコーヒーや牛肉など生活必需品の価格高騰を抑えるため、数十品目の農産物や食品の関税を自ら引き下げている。
WSJ紙は、もし議会が「オバマケア(医療保険制度改革法)」の補助金延長を認めず失効させた場合、数百万人の米国人が医療費の上昇に直面する可能性があるとも伝えている。
さらに、連邦最高裁は近く、トランプ政権が1977年の「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づいて実施した一部関税の合憲性について判断を下す見通しだ。トランプ氏は、これらの関税が違憲と判断されれば「米国にとって非常に恐ろしい事態になる」と述べた。関税に代わる手段については、「他の法的手段もあるが、柔軟性や即効性に欠け、効率も悪く、国家安全保障上も不利だ」と語った。
また、トランプ政権は、半導体や重要鉱物など経済の鍵となる分野に政府が直接介入し、企業の株式取得に踏み込む姿勢も見せている。国防関連企業の株式取得を検討しているかとの質問に対し、トランプ氏は「人々が必要とするものがあるなら、企業に投資すべきだ。私はそう思う。それが『アメリカらしくない』と言う人もいるが、実は非常に『アメリカ的』なことだ」と肯定的に答えた。
トランプ氏はまた、「ほんの10分前、あなた方が来る直前に、私は関税手段を使ってタイとカンボジアの間で新たに勃発した摩擦を鎮めた」と主張し、「戦争になれば貿易協定を破棄し、貴国に追加関税を課すと伝えた。私以外にこんなことができる人はいない」と豪語した。
しかしWSJ紙は、タイとカンボジア両政府の最新情報として、国境地帯での戦闘は依然として続いていると報じており、トランプ氏の主張する「衝突阻止」とは食い違いが生じている。
インタビュー中、トランプ氏は友人や盟友からの電話を何度も受け、その中にはダグ・バーガム内務長官も含まれていた(ワシントンD.C.のゴルフ場計画について議論したという)。トランプ氏は「良いニュースが出るたびに市場が下がる。もし本当に良いニュースが出たら、市場は崩壊するだろう」と不満を漏らした。
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