日本の防衛予算、過去最大の9兆円規模へ 「長射程ミサイル」に重点投資、敵基地反撃能力を強化

日本政府が2026年度総予算案における防衛費について最終調整を進めている。写真は高市早苗首相。(資料写真、AP通信)
日本政府が2026年度総予算案における防衛費について最終調整を進めている。写真は高市早苗首相。(資料写真、AP通信)

日本政府は、2026年度中央政府総予算案における防衛費の編成方針について最終調整を進めている。『共同通信』の報道によると、防衛費(在日米軍再編関連経費を含む)は約9兆円に引き上げられる見通しで、過去最大規模となる。

これは、日本政府が進める「防衛力整備計画」に基づく5年間・総額約43兆円の枠組みの4年目にあたり、2025年度当初予算の約8兆7,000億円を上回る水準となる。関係者が12日に明らかにしたところによると、防衛費は「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の中核を成す長射程ミサイルの整備に重点配分されるほか、無人機による多層的沿岸防衛システム「SHIELD(盾)」の構築に向け、攻撃型無人機の調達も盛り込まれるという。

高市早苗首相は、2026年中に「防衛力整備計画」を含む安全保障関連の三文書を前倒しで改定する方針を示している。ただし、2026年度の防衛予算については現行の整備計画に基づいて編成される見通しで、関連する予算案は今月下旬にも閣議決定される予定だ。

組織および戦力配備の面では、日本政府は宇宙領域における作戦能力の強化を目的に、「宇宙作戦集団(仮称)」を新設する構想を打ち出している。また、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」へと改編し、自衛隊の運用概念に正式に宇宙作戦を組み込む方針だ。さらに、沖縄県那覇市に所在する陸上自衛隊那覇駐屯地の第15旅団を師団に格上げし、日本の南西諸島地域における防衛態勢を一層強化する計画である。

装備面では、政府は反撃能力の重要な構成要素として、飛行速度が音速の5倍を超え、迎撃が困難とされる「極超音速誘導弾」の取得を進める方針だ。

一方、米国のヘグセス国防長官は6日の演説で、日本を含む同盟国に対し、今後数年以内に国防支出を国内総生産(GDP)比5%の水準まで引き上げるよう求めた。この5%には関連する安全保障支出全体が含まれており、現在の日本の防衛費算定方式に換算すると、GDP比約3.5%に相当する。ヘグセス長官は、安全保障上の責任を果たさない同盟国は深刻な結果に直面すると警告した。北大西洋条約機構(NATO)も今年6月、防衛費の基準をGDP比3.5%とし、これにインフラ関連支出など1.5%を加える方針を打ち出している。

また、中国海軍の空母「遼寧」の艦載機が発着艦訓練を行っていた際、日本の自衛隊機に対してレーダー照射を行ったとされる事案を巡り、中国軍は9日、音声データを公開し、訓練内容について事前に日本側へ通知していたと主張した。中国側は、自衛隊機が事前通報後に訓練空域へ進入し、中国軍機に50キロ未満まで接近し、「自らレーダーの捜索範囲に入った」としている。

これに対し、小泉進次郎防衛大臣は10日の記者会見で、中国側は訓練の日時や場所について、航空情報(NOTAM)や航行警報といった正式な事前通報を行っていなかったと改めて強調した。その上で、仮に事前通報がなかったとしても、日本の自衛隊が領空侵犯を防ぐための対応措置を取ることは正当な行為であると述べた。防衛省も、中国側からのいかなる連絡についても同意を示していないと説明している。

米国務省の報道官はこのレーダー照射問題について、中国の行動は地域の平和と安定に資するものではないとの見解を示した。自民党の河野太郎前外務大臣も14日、フジテレビの番組に出演し、中国側が主張する「事前通報」について、国際的な軍事運用の常識から見れば正式な事前通知には当たらないと指摘した。河野氏は、ロシアや北朝鮮を除けば、多くの国の軍関係者は中国のような対応を真の事前通報とは認めていないとの認識を示した。

編集:梅木奈実

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