日銀利上げ観測でアジア株が軒並み安 専門家「円高とキャリートレード巻き戻しに警戒」

16日のアジア株式市場は軒並み下落し、シンガポール株式市場も史上最高値を更新した後に反落した。イメージ写真。(資料写真/AP通信)
16日のアジア株式市場は軒並み下落し、シンガポール株式市場も史上最高値を更新した後に反落した。イメージ写真。(資料写真/AP通信)

16日のアジア株式市場は軒並み下落し、シンガポール株式市場も史上最高値を更新した後に反落した。これについて、万宝投顧の投資総監である蔡明彰氏は、「本日、アジアの主要株式市場はおおむね1%前後下落しており、この下げ幅は明らかに米国株を上回っている」と指摘した。

蔡氏は、今週金曜日(12月19日)のスケジュールが特に注目されるとした上で、「この日は株式市場の変動要因となる可能性があり、市場はすでに先回りして反応しているのではないか」との見方を示した。日本銀行(日銀)は今週金曜日に大幅な利上げを実施する可能性が高く、政策金利を現在の0.25%から1回分(0.25%)引き上げると予想されているという。

過去における日本の利上げは、1回あたり0.1%や0.2%にとどまっていたが、今回は1回で0.25%の引き上げとなり、幅としてはかなり大きい。その結果、日本の政策金利は一気に0.75%に達し、1995年のバブル経済崩壊以降で最も高い水準となる見通しだ。

日銀の金融政策をめぐり、蔡氏は自身のYouTubeチャンネルで、「高市早苗首相は昨年、日銀の利上げを『愚かな政策』だと批判していたが、いざ自らが政権を担う立場になると、受け止め方はまったく異なっている」と語った。現在に至るまで、高市首相は日銀総裁の植田和男氏の政策を批判しておらず、植田総裁は一貫してインフレ抑制を目的に段階的な利上げを進めている。

蔡氏は、「もし生活物価の上昇によって国民の不満が高まれば、その責任は必ず政権与党に向けられ、内閣支持率に直結する。これこそが高市首相が日銀を批判しない真の理由だ」と指摘し、今週金曜日の利上げ実施確率は90%に達しているとの見方を示した。

蔡氏によれば、アジア株が下落した理由の一つは、市場が日銀の利上げを織り込み、円高を先取りした動きが出ている点にある。一部の大口投資家や機関投資家がすでにポジション調整を始めているという。

利上げが実施されれば円は上昇基調となり、実際に円相場はすでに1ドル=155円の水準を突破した。これまで155円前後で推移していた円が上昇に転じたことで、輸出企業には逆風となり、日本株の下落を招いた。その影響が他のアジア市場にも波及した形だ。

さらに蔡氏は、中長期的な視点として、日本の長期国債利回りの上昇にも警戒感を示した。利回りの上昇は債券価格の下落を意味し、これがキャリートレードの構造変化を引き起こす可能性があるという。

現在、日本の30年物国債利回りは過去最高の3.39%に達し、10年物国債利回りも1.96%と、バブル経済期以降で最高水準となっている。かつて「世界で最も低金利の国」と認識されていた日本は、今や中国にその座を譲っており、10年物国債利回りは中国が1.84%、日本が1.96%と、日本の方が高い。 (関連記事: 円安は転換点を迎えたのか 謝金河氏が警鐘、150円突破で株式市場に即効性の影響 関連記事をもっと読む

蔡氏は、「長期金利が極端に低い国はデフレ懸念を抱えていることを意味する。日本は過去30年間、インフレではなくデフレに苦しんできた。デフレ下では金利が極端に低くなり、国民生活も一層厳しくなる」と指摘した。

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