政府が進める外国人政策の見直しを巡り、永住者や在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」を対象とした在留管理の厳格化が検討されていることが分かった。高市早苗政権は、来年1月をめどに総合的な対応策を取りまとめる方針で、在留資格ごとの具体的な見直し内容が徐々に明らかになってきている。
日本の在留外国人数は、2015年末時点の約223万人から、2025年6月末には約395万人へと増加し、10年で約1.7倍となった。人口に占める割合は約3%にとどまるものの、経済協力開発機構(OECD)諸国平均と同水準の10%を超えるのは2070年ごろと推計されている。一方、鈴木馨祐前法相は2025年8月、このままの増加ペースが続けば10%到達の時期が前倒しされる可能性があるとの認識を示していた。
自民党と日本維新の会は連立政権合意書で、在留外国人の比率が高まった場合に受け入れ数を調整する「量的マネジメント」に言及しており、こうした流れを背景に在留管理の厳格化が検討されている。中でも対象として議論されているのが、在留外国人の中で最も多い「永住者」で、2025年6月時点で約93万人と全体の約23%を占める。
永住者は在留期間が無期限で、就労制限もない。取得要件としては、素行が善良であることや、独立した生計を営むに足りる資産または技能を有すること、原則として10年以上日本に居住していることなどが定められている。政府内では、独立生計に関する収入基準を実質的に引き上げることや、新たに一定の日本語能力を求める案が検討されている。
また、日本国籍の取得については、必要な居住期間が「5年以上」と、永住許可に必要な在留期間の原則10年より短い点に批判があり、国籍取得要件を事実上「10年以上」に引き上げる方向で調整が進められている。
2番目に多い在留資格である「技人国」も見直しの対象となっている。通訳やデザイナーなど、専門的な知識や技能を要する業務での就労が認められる資格で、2025年6月時点の在留者数は約45万人と、全体の約11%を占める。しかし、実際には単純労働に従事しているケースも指摘されており、政府は企業側の責任も含め、資格外就労への対策を強化する方針だ。
さらに、在留期間が3カ月を超える外国人に加入が義務付けられている国民健康保険について、一定額の未納がある場合には、在留資格の更新や変更を認めない仕組みの導入が検討されている。デジタル庁が運用するネットワークシステムを活用し、市区町村が保有する外国人の未納情報を出入国在留管理庁が参照できるようにする計画で、2026年からシステム改修を進め、2027年6月に全国の自治体での運用開始を目指す。国民年金の未納情報を在留審査に反映させる案も浮上している。
厚生労働省が約150の自治体を対象に行った調査では、外国人の国民健康保険の納付率は63%にとどまり、日本人を含めた全体平均の93%を大きく下回った。医療費の不払い対策も進められており、現在は20万円以上の不払いがあった場合に入管庁へ情報共有されているが、この基準を1万円以上に引き下げる準備が進められている。短期滞在者の再入国審査などへの活用も想定されている。

このほか政府は、在留許可に関する手数料の引き上げも検討している。2025年11月27日に開かれた自民党の作業チーム会合では、現在、窓口で6000円、オンラインで5500円となっている在留資格の更新・変更許可について、主要国の例を踏まえ、10万円を超えない範囲で政令により定める額へ引き上げる案が示された。永住許可についても、現在1万円の手数料を30万円を超えない範囲で定める案が検討されている。
政府は今後、与党との調整を進めながら、外国人の適正な受け入れと在留管理の在り方について、具体的な制度設計を進める方針だ。
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編集:小田菜々香


















































