長崎原爆資料館、「南京大虐殺」表記変更案に市民団体が抗議 「加害の歴史隠し」と批判

長崎原爆資料館の展示見直し案で「南京大虐殺」が「南京事件」へ変更されるなど日本の加害責任が曖昧にされているとして、市民団体が「侵略の事実と向き合わなければ核廃絶の訴えは世界に届かない」と撤回を求め抗議した。(写真/FCCJ提供)

長崎原爆資料館の展示リニューアルを巡り、市民団体「世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会」の事務局長・南輝久氏が12月17日、東京の日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を行った。南氏は、長崎市が検討している展示見直し案において、日本の戦争加害責任を曖昧にする記述変更が含まれていると指摘し、「侵略の事実と向き合わなければ、核兵器廃絶の訴えは世界に届かない」と強く抗議した

「世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会」の事務局長・南輝久氏が12月17日、東京の日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を行った。FCCJ
「世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会」の事務局長・南輝久氏が12月17日、東京の日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を行った。FCCJ

同会によると、被爆80年となる来年に向けた資料館の展示更新案では、原爆投下至る歴史の展示において、「南京大虐殺」という表記が「南京事件」に変更され、「侵略」という言葉が「海外進出」や「自衛と称した軍事行動」などに置き換えられている。市側はその理由として、30年前とは異なり現在の教科書では「南京事件」という記述が多く見られることや、外務省等のウェブサイトを参考にしたと説明している

これに対し南氏は、南京攻略戦の過程で子供や女性を含む多数の市民や捕虜が殺害され、強姦や放火、略奪を伴ったことは史実として定着していると反論した。その上で、単に「南京事件」という表記では、多数の市民が殺害されたという説明書きがあったとしても、事件の残虐性や深刻な内容がストレートに伝わらず、日本の負の歴史を隠蔽することにつながると批判した

南氏は、戦後50年の1995年に長崎市が出した平和宣言が、アジア諸国への侵略と加害に対する厳しい反省を明記していたことに触れ、今回の見直し案はその精神に逆行するものだと訴えた。特に、日本の侵略と植民地支配によって多大な被害を受けたアジアの人々から強い批判を招くことになり、結果として長崎が世界に向けて発信している「核兵器廃絶」と「戦争のない社会」への願いが、国際社会の理解と共感を得られなくなると強い危機感を示した

自身も胎内被爆者であり、父が先妻と3歳、5歳の二人の娘を原爆で亡くした遺族でもある南氏は、会見で戦争がいかに残酷で取り返しのつかないものかを語った。父から聞いた、瀕死の幼い娘が「お父さん、今何時?」と尋ねながら息を引き取ったというエピソードを紹介し、こうした悲劇を二度と繰り返さないための道標として、資料館はその人類史的な使命を果たすべきだと強調した

今回の見直し案の背景には、長崎市議会における保守系議員からの「南京大虐殺事件」という表記を問題視する発言や圧力があると南氏は説明した。加害の記述を強調しすぎると原爆投下の責任が曖昧になるという保守派の主張に対し、南氏は「資料館の展示の大部分は原爆被害の悲惨さを伝えるものであり、加害の展示はごく一部に過ぎない」と述べ、その指摘は当たらないと反論した

南氏は、昨今の日本国内における歴史修正主義的な動きに懸念を示しつつ、長崎市に対し、1996年の開館当初の「歴史をありのままに展示し続ける」という姿勢を堅持するよう求めている

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