日中外交衝突から1ヶ月、ルビオ米国務長官が沈黙を破る 「日中バランス」重視の姿勢を鮮明に

米国のマルコ・ルビオ国務長官とドナルド・トランプ大統領。(写真/AP通信)
米国のマルコ・ルビオ国務長官とドナルド・トランプ大統領。(写真/AP通信)

市早苗首相が11月7日の国会答弁で「台湾有事」に言及した際、その内容は大きな波紋を広げ、北京当局の強い反発を招いた。これに対し、米国のドナルド・トランプ大統領および国務省はこれまで静観を続けてきたが、答弁から1ヶ月以上が経過した19日、マルコ・ルビオ国務長官がついにこの問題について言及。日中両国に対する「バランス」を重視する意向を表明した。

ルビオ国務長官による初の公式見解

共同通信の報道によると、ルビオ氏は19日、米国務省での記者会見において、激化する日中対立への米国の対応について言及。「強固な日米同盟を維持すると同時に、中国とも実りある協力関係を築くことは可能だ」と述べ、日中間の均衡を保ちたいという考えを示した。

ルビオ氏は、中国について「今後も豊かで強大な国家として、地政学上の重要なプレーヤーであり続けるだろう」と指摘。米中関係において緊張と協力の「バランス」を維持することが重要であると強調し、その均衡を実現することは、日本をはじめとするインド太平洋地域の同盟国・友好国に対する米国の「確固たる関与」を損なうものではないとの認識を示した。

日本首相高市早苗。(美聯社)
高市早苗首相。(AP通信)

同盟国・日本への肩入れを避ける米国の思惑

高市首相の「台湾有事」答弁に端を発する日中関係の悪化について、ルビオ氏が公の場で意見を表明したのは今回が初めてだ。同氏は日中の対立について「緊張は以前から存在しており、維持されるべき地域的な力学の一つである」と述べるにとどめた。

かつて上院議員時代には対中強硬派として知られたルビオ氏だが、第2期トランプ政権の国務長官(および国家安全保障担当大統領補佐官を兼任)に就任して以降、その態度は変化しつつある。習近平国家主席との関係を考慮し、経済的利益を重視するトランプ大統領の意向を反映した姿勢が目立つようになっている。

専門家の分析によれば、米国は現在、対中貿易交渉や来年4月に予定されているトランプ氏の訪中計画を見据えている。そのため、同盟国である日本に過度に肩入れすることで中国を刺激することを、あえて避けている様子がうかがえる。

トランプと習近平が韓国で会談し、約100分にわたって会話した。(米国ホワイトハウス公式サイトより)
ドナルド・トランプ氏と習近平氏は韓国で会談し、約100分にわたり協議した。(写真/米ホワイトハウス公式サイトより)

日本の「核保有論」を即座に牽制する米国

一方で、共同通信の別記事は、米国務省の報道担当者が19日、高市政権の首相官邸関係者による「日本は核兵器を保有する必要がある」との発言に対し、異例のコメントを出したと報じている。米国側は「日本は核不拡散および軍備管理における国際的なリーダーであり、重要なパートナーである」と釘を刺した。

事の発端は18日、首相官邸の関係者がオフレコを前提としたメディアの取材に対し、日本自らが核を保有すべきだとの観測を述べたことにある。

これに対し、米国務省の担当官は、日本を含む同盟国を守るために「世界で最も強力かつ信頼のおける、近代化された核抑止力を維持していく」と改めて強調。日米同盟こそが「インド太平洋地域の平和と安定の基盤である」と指摘した。このコメントは、日本政府内で再燃しつつある「核保有論」を、米国側が迅速に牽制する狙いがあったと見られている。

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編集:田中佳奈

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