経団連外国人政策委員会、入管行政の課題共有 丸山入管庁長官が人手不足と制度改革に言及

経団連の外国人政策委員会で丸山入管庁長官が、在留外国人の増加を踏まえた外国人労働者受け入れ策や秩序ある共生社会実現に向けた出入国在留管理行政の現状と課題を説明した。(写真/flickr@Dan提供)
経団連の外国人政策委員会で丸山入管庁長官が、在留外国人の増加を踏まえた外国人労働者受け入れ策や秩序ある共生社会実現に向けた出入国在留管理行政の現状と課題を説明した。(写真/flickr@Dan提供)

経団連は12月1日、都内で外国人政策委員会を開き、出入国在留管理庁の丸山秀治長官から、出入国在留管理行政の現状と課題について説明を受け、意見交換を行った。委員会は深澤祐二委員長と大島卓委員長が共同で主宰した。

丸山長官は冒頭、日本ではデジタルトランスフォーメーション(DX)やAIなどの技術革新による生産性向上、高齢者や女性の就労促進を進めているものの、労働力不足の解消には依然として十分ではないとの認識を示した。国際的な人材獲得競争が激化する中、日本が外国人労働者から魅力ある働き先として選ばれることの重要性を強調した。

出入国在留管理庁によると、在留外国人数は2025年6月末時点で約395万人となり、外国人労働者数も2024年10月末時点で約230万人と、いずれも過去最高を更新している。政府の外国人労働者受け入れ方針では、経済社会の活性化に資する専門的・技術的分野の外国人材を積極的に受け入れる一方、それ以外の分野については国民的コンセンサスを踏まえ、慎重に対応する姿勢を取っている。

この方針のもと、高度外国人材については、高度人材ポイント制や在留資格「高度専門職」の創設に加え、特別高度人材制度(J-Skip)や未来創造人材制度(J-Find)の導入などにより、受け入れ促進が図られてきた。深刻な人手不足への対応としては、2019年4月に特定技能制度を創設し、さらに2027年4月からは、技能実習制度を発展的に解消した新たな「育成就労制度」の運用を開始する予定だとしている。

育成就労制度について丸山長官は、特定技能制度との接続性を高めることで、外国人のキャリアアップの道筋を明確にし、人手不足分野を支える人材育成・確保の枠組みを構築していく狙いを説明した。

また、外国人の受け入れに当たっては、排外主義に陥ることなく、国民の安全・安心を確保することが経済成長の前提であるとし、外国人との秩序ある共生社会の実現に向け、政府一体となって取り組む必要性を指摘した。

こうした背景の下、政府は2025年7月に内閣官房のもとに外国人政策の司令塔となる事務局組織を設置し、同年11月には外国人政策に関する関係閣僚会議を改組した。2026年1月をめどに、外国人の受け入れと秩序ある共生社会の実現に向けた基本的な考え方や取り組みの方向性を示す方針で、検討を進めている。

法務省では、2026年3月を目標に、出入国在留管理行政の施策指針となる次期「出入国在留管理基本計画」の策定作業が進められている。総人口に占める外国人比率が将来的に10%台に達するとの予測もある中、法務大臣の私的勉強会での議論を踏まえ、2025年8月には「外国人の受入れの基本的な在り方」に関する論点整理を公表し、中長期的かつ多角的な検討課題を示した。

丸山長官は、出入国在留管理庁として、外国人から選ばれる国となるため、受け入れ環境整備に関する総合調整機能を発揮し、関係府省との連携を強化していく考えを示した。

なお、同委員会では、政府の動きを踏まえつつ、「転換期における外国人政策のあり方」について検討を重ね、2030年ごろを見据えた提言を取りまとめている。

編集:小田菜々香

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