米国株の乱高下は「日常」に AI熱狂とバブル不安が交錯、2026年投資の焦点

過去1年半の米国株は「急落→急反発」を何度も繰り返し、値動きの振れは回を追うごとに大きくなっている。(イメージ画像/Pexelsより)
過去1年半の米国株は「急落→急反発」を何度も繰り返し、値動きの振れは回を追うごとに大きくなっている。(イメージ画像/Pexelsより)

2026年を見据えると、米国株式市場が再び「一方向に上がり続ける」穏やかな局面に戻る可能性は低いとみられている。投資家は、人工知能(AI)がもたらす成長の波に乗り遅れることを恐れる一方で、その熱狂がいつ崩れてもおかしくないバブルではないかという不安も抱えている。

市場で共有されつつある認識は明確だ。高いボラティリティはもはや例外ではなく、常態になりつつある。過去1年半、米国株は急落と急反発を何度も繰り返し、その振れ幅は次第に拡大してきた。複数のストラテジストは、この値動きの構造が2026年まで続き、歴史上の大きな技術革新期と同様の「暴騰と暴落の循環」が再現される可能性が高いと指摘している。

AI中核銘柄が相場を支える一方、リスクを増幅

AIブームの中心に位置する大型テクノロジー企業は、市場全体への影響力をこれまで以上に強めている。2025年には、これらの主力株とS&P500のその他の構成銘柄との値動きが明確に分かれ、テクノロジー株の強さが非テクノロジー分野の弱さを相殺することで、指数全体の変動を一定程度抑えてきた。

ただし、この均衡は極めて脆い。市場の関心は半導体やAIインフラ関連株に集中しており、これらが調整局面に入れば、相場全体を一気に押し下げ、恐怖指数(VIX)などのボラティリティ指標を急上昇させる連鎖反応を招きかねない。

資金の偏在が「静けさ」を演出

UBSのデリバティブ戦略を担当するキアラン・ダイヤモンドは、2025年の市場を「全面的なリスクオンでもリスクオフでもない」と分析する。特徴的なのは、資金がごく一部の主導銘柄に集中している点だ。

「2025年は、資金のローテーションと主役の集中が進んだ年だった。その結果、暗黙の相関は歴史的な低水準にある。ただし、マクロ要因が再び相場を支配し始めれば、VIXは異常な上昇を繰り返す可能性がある」表面上の落ち着きは、むしろ突発的な大きな変動を引き起こしやすい環境を作っている、という見方だ。

運用担当者が恐れるのは「下落」そのものではない

米銀による最新のファンドマネージャー調査では、株価が大きく上昇した局面にもかかわらず、「バブルへの不安」が最大の懸念材料として浮上している。一方で、もう一つの古典的だが厄介なリスクも意識され始めている。それは、相場がまだ続いているにもかかわらず、早々に市場から離脱してしまうことだ。

多くのストラテジストは、こうした心理状況を背景に、2026年も株式市場のボラティリティは高水準で推移するとみている。歴史を振り返れば、資産バブルの拡大局面では不安定さがむしろ強まる。10%を超える調整が突発的に起きる一方で、「バブルはまだ崩れていない」との認識が広がれば、反発は驚くほど速い可能性もある。 (関連記事: AIだけではない「同時多発バブル」の時代 投資市場はどこへ向かうのか 2026年「清算の年」への警鐘 関連記事をもっと読む

「ボラティリティに賭ける」戦略が主役に

こうした環境のもとで、ボラティリティを活用する戦略は補助的な位置づけから、ポートフォリオの中核へと格上げされつつある。UBSの戦略チームは、AI相場が続く場合でも反転する場合でも、ナスダック100のボラティリティ上昇から利益を得られるポジションは、数少ない有効な選択肢だと指摘する。

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