日本史上最長寿の天皇 約100年ぶりの「生前退位」を選んだ明仁上皇、92歳の誕生日を迎える

退位後、穏やかな日々を過ごす日本の上皇明仁さまが92歳の誕生日を迎えた。(写真/AP通信)
退位後、穏やかな日々を過ごす日本の上皇明仁さまが92歳の誕生日を迎えた。(写真/AP通信)

生前退位を選択した日本の上皇・明仁さまは23日、92歳の誕生日を迎えた。健康状態が安定していることが改めて明らかになるとともに、明仁上皇は、日本で確認できる歴史上、最も長寿の天皇という記録をさらに更新した。これまでの最長寿記録は、父である昭和天皇が残した87歳8か月だった。

日本メディアの報道を総合すると、明仁上皇は今年5月に検査のため入院し、「無症候性心筋虚血」と診断された。さらに7月には心臓治療のため再び入院している。宮内庁は、現在の体調について「比較的安定している」と説明している。

一方で医師団は、心臓への過度な負担を避けつつ、一定の筋力を維持する必要があるとして、上皇に対し、無理のない範囲で毎日散歩を続けるよう助言している。

史料で確認できる日本の長寿天皇上位5人を見ると、92歳を迎えた明仁上皇のほか、父の昭和天皇、江戸時代の後水尾天皇(84歳2か月)、平安時代の陽成天皇(80歳9か月)、江戸後期の霊元天皇(78歳2か月)が名を連ねる。

現在92歳の明仁上皇は、東京・皇居で、昭和天皇と香淳皇后の長男として誕生した。幼少期の称号は「継宮(つぐのみや)」で、上に4人の姉、下に弟の常陸宮正仁親王と妹の島津貴子がいる。

太平洋戦争末期には、皇族疎開のため地方へ移り住んだ。近衛師団への入隊を希望したこともあったが、昭和天皇の許可が下りず、軍歴は持たなかった。

過著退休生活的日本上皇明仁(左)迎來92歲生日,與上皇后美智子在花園散步。(美聯社)
退位後、静かな日々を送る日本の上皇明仁さま(左)が92歳の誕生日を迎え、上皇后美智子さまとともに庭園を散策される。(写真/AP通信)

1952年、18歳で皇太子に立てられ、翌年には父の代理として英国を訪問し、エリザベス2世女王の戴冠式に出席。帰国後は学習院大学で学んだ。

テニスや馬術などのスポーツを愛好していた明仁上皇は、軽井沢でのテニス大会をきっかけに、のちの上皇后・正田美智子さまと出会う。日清製粉グループ創業家出身の美智子さまとの交際は急速に深まったが、皇太子妃が民間出身であることから反対の声も上がった。

しかし、昭和天皇の理解と明仁皇太子の強い意志により、1959年に成婚。結婚の儀は国民から熱烈に祝福され、美智子さまは日本史上初の「民間出身の皇后」となった。

1953年6月6日,剛即位的英國女王伊麗莎白二世與當時的日本皇太子明仁。(AP)
1953年6月6日、即位直後の英国女王エリザベス2世と、当時の皇太子明仁さま。(写真/AP通信)
明仁天皇4月30日完成「退位禮正殿之儀」,日本媒體也紛紛發出天皇生前退位的快報。(美聯社)
明仁天皇が4月30日、「退位礼正殿の儀」を終え、生前退位が正式に完了。日本の各メディアは相次いで速報を伝えた。(写真/AP通信)

夫妻の間には2男1女が誕生し、長男が現在の徳仁天皇、次男が秋篠宮文仁親王、長女が結婚により皇籍を離れた黒田清子さんである。

皇太子として在位37年目に父・昭和天皇が崩御し、明仁さまは第125代天皇に即位。元号は「平成」と改められ、新たな時代の幕開けを象徴した。

天皇としての公務とは別に、明仁上皇は魚類学者としても知られ、ハゼ亜目を専門に研究してきた。日本魚類学会の会員でもあり、国際的な学術誌『サイエンス(Science)』や『ジーン(Gene)』などに複数の論文を発表している。

その学術的功績を称え、研究分野では2つの新種が明仁上皇の名にちなんで命名されており、魚類研究への貢献は国内外で高く評価されている。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp 

編集:梅木奈実

最新ニュース
上野の森美術館で「シティーハンター大原画展」開催中 喫茶キャッツアイ、2日間限定でクリスマス仕様に 入場者特典も実施
シドニー新年カウントダウン、予定通り実施へ テロ犠牲者を追悼し、平和と包容のメッセージ発信
「命を懸けて時間を稼いだ」台北駅無差別襲撃で市民犠牲 忠烈祠合祀を巡り議論
なぜ中国は日本の利上げに神経質なのか 謝金河氏「日本は正常化、中国は不動産調整の入り口」
台湾に今冬最強クラスの寒気 クリスマス前後に大陸性寒気団接近、各地気温急降下、山岳地帯では降雪の可能性
トランプ氏、ルイジアナ州知事を「グリーンランド特使」に任命 本人は「米国の一部に」発言、デンマーク反発
なぜ中国の若者は軍隊を選ばなくなったのか 人民解放軍の兵士が直面する現実 長期駐屯、厳格統制、除隊後も見えない将来
「中央アジア+日本」対話、初の首脳会合を東京で開催 東京宣言を採択
台湾出身の起業家が大阪・心斎橋に挑戦 「日本酒ライブラリー・SAKE REPUBLIC」で日本酒の楽しみ方を再定義
特別インタビュー》ノーベル経済学賞マスキン氏が警告 トランプ関税は「最悪の選択肢」 来年の米景気後退を懸念
松任谷由実、「第76回NHK紅白歌合戦」特別企画で出演決定 AI技術で「荒井由実」と現在の歌声が重なる特別ステージ
舞台裏》「大艦巨砲主義」を再びか トランプ米大統領、「トランプ級戦艦」構想を発表、「黄金艦隊」で海の覇権を掲げる
米津玄師、「第76回NHK紅白歌合戦」白組出演決定 劇場版『チェンソーマン レゼ篇』主題歌「IRIS OUT」を初披露
舞台裏》TSMCはなぜ止められなかったのか インテル転職の羅唯仁氏「退職時の行動」に捜査当局も首をかしげた
プリンスグループの34台の高級車が司法オークションに確定!身分不問で入札可能、オークション日程と手順が公開
日本旅行に警戒感、「台湾有事」論が影響か 中国発日本行き46路線が2週間で運休、日中便は大幅減
台北駅無差別襲撃事件、張容疑者の金流に焦点 口座は1つ、家賃8.4万…無職でも犯行準備は可能だったのか 不審送金なし、母親の支援が唯一の収入
メモリ価格が異常高騰「1日1価格」の現実 ゲーム機・スマホも値上げ不可避か、最も影響を受ける層は
ChatGPTにクリスマス限定サプライズ この絵文字を入力すると「プレゼント動画」が再生される、4ステップで体験
日本高校マーチングバンド「オレンジの悪魔」と「エメラルドナイツ」台湾で交流公演 「2025台湾遠征」全日程を完走
高雄に「LaLaport」2026年開業へ 約270店舗と台湾初の「ARTE MUSEUM」導入
阿蘇くまもと空港に多言語対応「OHDr.メディカルサポートステーション」設置
舞台裏》台北駅無差別襲撃事件で国家安全システムに激震 国家安全局、軍の衡山指揮所、憲兵が一斉に動く
論評:「違法判決」か「機能回復」か 台湾・大法官5人が憲訴法改正を違憲、反対意見は「当初から無効」
トランプ2.0『米国国家安全保障戦略』をどう読むか ノーベル経済学者クルーグマン氏「民主を軸にしない外交は中国に余地を与える」
米国株の乱高下は「日常」に AI熱狂とバブル不安が交錯、2026年投資の焦点
米国務長官、対中協力の余地示す 「日本との同盟堅持」も強調 米外交は国益重視へ再調整
張鈞凱コラム:社会を侵食する「無差別殺人」の病的なロジック
「不戦」を語る一方でミサイル攻撃 プーチン氏の平和発言に残る大きな条件
台湾野党、賴清德総統の弾劾手続き開始へ 黄国昌氏「来年5月20日に採決予定」
外国人の日本国籍取得要件を厳格化へ 政府、帰化の居住年数を「5年から原則10年以上」に引き上げ検討
「時代の涙」訪日客の定番Wi-Fi「Wi-Ho!」が年内で台湾サービス終了へ eSIM普及で市場に変化
JR上野駅「エキュート上野」、約2年半におよぶリニューアルが完結 年末年始に向け限定スイーツや弁当、イートインを展開
日本橋室町一丁目で工事仮囲いを彩るアート企画「NIHONBASHI RIVER WALK MUSEUM」第3弾がスタート
舞台裏》台北駅・中山駅で無差別襲撃は「1年半計画」判明、変装と移動で追跡困難に 賴清德総統、徹底捜査を指示
「台湾軍の信頼を崩せ」 中国系インフルエンサー、プロパガンダ協力で高額報酬を提示と告発
米政治学者・黎安友氏が米中台関係を分析 「トランプ氏は習近平氏やプーチン氏の言葉を重視する傾向」
台湾民意基金会調査》台湾で高市早苗首相を57.6%が評価 専門家・游盈隆氏「魅力が全土を席巻」
福原愛、再婚と妊娠を自ら公表 一般男性との新生活と現在の心境を語る
日中外交衝突から1ヶ月、ルビオ米国務長官が沈黙を破る 「日中バランス」重視の姿勢を鮮明に
台湾・憲法法廷で異例の内紛――「憲法訴訟法」改正に違憲判決も、大法官3人が「5人による判決は無効」と猛反発
台北・無差別襲撃の張文容疑者、3人死亡の末に転落死 両親「2年以上連絡していなかった」
国際の焦点》1人の提供者で197人誕生 がんリスク遺伝子が14カ国に流通、精子提供の遺伝子管理、世界共通ルール不在の現状
台北「通り魔」事件 なぜ犯人は放火し、無差別殺傷に及び、転落死したのか 精神科医が読み解く犯行心理
北京観察》キヤノン中国工場、24年で閉鎖 最大40万人民元補償が示した外資撤退と中国労働法の現実
米国、台湾に110億ドル超の軍事販売を承認 中国は強く反発
ジェットスター・ジャパン、東京(成田)―高雄直行便が就航
第76回NHK紅白歌合戦、出場歌手の曲目決定 全曲一覧と見どころ発表
切りつけられたバイク運転手は無事だったのか 台北駅・中山駅の無差別襲撃、死者4人に 被害者一覧
香港民主派の象徴・黎智英氏に有罪判決 終身刑の可能性も、国際社会に波紋