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高雄・熊本・台南を結ぶ「TSMCトライアングル」始動 熊本初LCC就航で観光と経済交流に期待 高雄市長選への出馬が取り沙汰される立法委員の許智傑氏と、タイガーエア台湾の黄世惠会長が高雄―熊本線の初便に搭乗。熊本初のLCC路線就航を祝った。(写真/許智傑氏事務所提供)
7万人規模の大規模集会を行った台湾・高雄市長選への出馬が取り沙汰される立法委員の許智傑氏は23日、タイガーエア台湾の黄世惠会長とともに高雄―熊本線の初便に搭乗し、熊本にとって初となるLCC路線の就航を祝った。同時に、この機会を通じて高雄と熊本の姉妹都市外交の推進にも力を入れた。 搭乗前には思わぬ一幕もあった。空港で台湾の人気YouTuber「蛇丸」と偶然出会い、立ち話を交わしながら、熊本名物として馬肉カレー、サツマイモ餅、からし蓮根などの「必食グルメ」を勧め合う場面も見られた。
熊本到着後は休む間もなく、高雄市を代表して日本側が主催する初便記念式典に出席。台湾観光を象徴するキャラクター「オーベア」のネックピローを贈呈し、「くまモン部長」と親しげに交流した。さらに同日午後には台南―熊本線も就航。これはコロナ禍以降、台南発として初の国際線となる。
今後は高雄・熊本・台南を結ぶ三都市連携が実現し、「TSMCトライアングル」とも呼ばれる新たな交流軸として、南台湾と熊本の結びつきを一段と深め、日台間の観光、経済、物産分野での協力拡大が期待されている。
先週には、陳其邁高雄市長が三井アウトレットパーク・ララポートの上棟式で「許智傑は市長以上に市長らしい」と評価。さらにジェットスターの高雄初便式典でも、許氏の航空政策への貢献に言及していた。こうした流れの中で、今回も許氏が高雄を代表して熊本の初便式典に出席し、都市外交を前面に押し出した。地元関係者の間では、許氏は招商、航空、外交の各分野で存在感を示し、陳其邁市長の後継として最有力との見方が広がっている。「準市長」とも言える力量を示しているとの評価に対し、許氏自身は「多くの人たちの努力の積み重ねだ」と謙虚に語った。
一方で、話題が及ぶと表情を緩め、「日本側から招待状を受け取った時は本当にうれしかった」と心境を明かした。今回が日本での初便参加は4回目となり、来年には高雄から日本への10本目の直行路線として神戸線の開設も予定されている。これらは高雄の国際的な知名度を大きく押し上げるものだという。
出発前には、日本側から「なぜそこまで路線開発に詳しいのか」と驚かれたという。許氏は、長年交通委員会に所属し、高雄の航空発展を継続的に追ってきた結果、これまでに25路線以上の直行便実現に関わってきたと説明した。特に、高雄がAI都市への転換を目指す重要な局面にある中で、航空路線は不可欠な基盤だと強調。来年も日台交流協会の片山和之代表に働きかけ、高雄―羽田間の直行便の発着枠見直しを求め、高雄と東京の距離をさらに縮めたい考えを示した。
熊本路線の実現について、許智傑氏は「決して簡単な道のりではなかった」と振り返る。熊本側はこれまで、フルサービスキャリアを中心とした路線構成を重視しており、LCCの就航には高いハードルがあったという。 今回、タイガーエア が熊本初のLCCとして就航できた背景には、約10年にわたる調整と働きかけがあった。許氏は、タイガーエアの黄世惠会長がチャイナエアライン福岡総経理時代から熊本側と粘り強く関係を築き、人脈を広げながら就航条件を整えてきたことが、今回の成果につながったと語り、深い感謝を示した。
また、今年2月に実現したチャイナエアライン ・熊本線の再開についても言及。謝世謙前会長とともに働きかけを行い、熊本空港での給油体制や地上支援の調整を進めた経緯を明かした。許氏は言葉を詰まらせながら「この恩は高雄の人々が決して忘れない」と述べ、関係者への謝意をにじませた。
熊本側も高く評価 木村知事「尊敬する兄貴のような存在」 式典では、熊本県の木村敬知事が「許智傑氏はよく気にかけてくれる。尊敬する兄貴のような存在だ」と言及し、今回の取り組みを評価した。初便式典の後、許氏は木村知事、熊本市の大西一史市長との会食に招かれ、就航と都市交流の節目を祝った。夜には台南市の黄偉哲市長、林俊憲立法委員らも合流し、南台湾にとっての一大イベントを共に祝う予定だという。さらに、馬場誠志参議院議員、長友慎治衆議院議員、鈴木敦衆議院議員、石平参議院議員、熊本県商工会の久我彰登会長ら地元政財界の関係者とも会談する。
許氏は熊本側関係者の高雄訪問も呼びかけ、現地では高雄の名物料理でもてなしたい考えを示した。今回の「2日余りの短期交流」を足がかりに、将来的には高雄・熊本・台南を結ぶ路線の増便、名物・名産の展示販売会の開催、さらには高雄空港に「くまモン」専用の待合スペースを設けることなど、双方で取り組む構想も挙げた。
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