高雄・熊本・台南を結ぶ「TSMCトライアングル」始動 熊本初LCC就航で観光と経済交流に期待

2025-12-24 17:56
高雄市長選への出馬が取り沙汰される立法委員の許智傑氏と、タイガーエア台湾の黄世惠会長が高雄―熊本線の初便に搭乗。熊本初のLCC路線就航を祝った。(写真/許智傑氏事務所提供)
高雄市長選への出馬が取り沙汰される立法委員の許智傑氏と、タイガーエア台湾の黄世惠会長が高雄―熊本線の初便に搭乗。熊本初のLCC路線就航を祝った。(写真/許智傑氏事務所提供)

7万人規模の大規模集会を行った台湾・高雄市長選への出馬が取り沙汰される立法委員の許智傑氏は23日、タイガーエア台湾の黄世惠会長とともに高雄―熊本線の初便に搭乗し、熊本にとって初となるLCC路線の就航を祝った。同時に、この機会を通じて高雄と熊本の姉妹都市外交の推進にも力を入れた。搭乗前には思わぬ一幕もあった。空港で台湾の人気YouTuber「蛇丸」と偶然出会い、立ち話を交わしながら、熊本名物として馬肉カレー、サツマイモ餅、からし蓮根などの「必食グルメ」を勧め合う場面も見られた。

熊本到着後は休む間もなく、高雄市を代表して日本側が主催する初便記念式典に出席。台湾観光を象徴するキャラクター「オーベア」のネックピローを贈呈し、「くまモン部長」と親しげに交流した。さらに同日午後には台南―熊本線も就航。これはコロナ禍以降、台南発として初の国際線となる。

今後は高雄・熊本・台南を結ぶ三都市連携が実現し、「TSMCトライアングル」とも呼ばれる新たな交流軸として、南台湾と熊本の結びつきを一段と深め、日台間の観光、経済、物産分野での協力拡大が期待されている。

先週には、陳其邁高雄市長が三井アウトレットパーク・ララポートの上棟式で「許智傑は市長以上に市長らしい」と評価。さらにジェットスターの高雄初便式典でも、許氏の航空政策への貢献に言及していた。こうした流れの中で、今回も許氏が高雄を代表して熊本の初便式典に出席し、都市外交を前面に押し出した。地元関係者の間では、許氏は招商、航空、外交の各分野で存在感を示し、陳其邁市長の後継として最有力との見方が広がっている。「準市長」とも言える力量を示しているとの評価に対し、許氏自身は「多くの人たちの努力の積み重ねだ」と謙虚に語った。

一方で、話題が及ぶと表情を緩め、「日本側から招待状を受け取った時は本当にうれしかった」と心境を明かした。今回が日本での初便参加は4回目となり、来年には高雄から日本への10本目の直行路線として神戸線の開設も予定されている。これらは高雄の国際的な知名度を大きく押し上げるものだという。

出発前には、日本側から「なぜそこまで路線開発に詳しいのか」と驚かれたという。許氏は、長年交通委員会に所属し、高雄の航空発展を継続的に追ってきた結果、これまでに25路線以上の直行便実現に関わってきたと説明した。特に、高雄がAI都市への転換を目指す重要な局面にある中で、航空路線は不可欠な基盤だと強調。来年も日台交流協会の片山和之代表に働きかけ、高雄―羽田間の直行便の発着枠見直しを求め、高雄と東京の距離をさらに縮めたい考えを示した。

熊本路線の実現について、許智傑氏は「決して簡単な道のりではなかった」と振り返る。熊本側はこれまで、フルサービスキャリアを中心とした路線構成を重視しており、LCCの就航には高いハードルがあったという。今回、タイガーエアが熊本初のLCCとして就航できた背景には、約10年にわたる調整と働きかけがあった。許氏は、タイガーエアの黄世惠会長がチャイナエアライン福岡総経理時代から熊本側と粘り強く関係を築き、人脈を広げながら就航条件を整えてきたことが、今回の成果につながったと語り、深い感謝を示した。

最新ニュース
邦画実写歴代興行収入No.1を記念 Ginza Sony Parkで『映画「国宝」展』開催 2026年1月7日~28日、入場無料
「2027年武力侵攻論」だけでは見誤る 張五岳氏が示す、2026年の米中攻防で台湾が直面する三つの試練
論評:トランプの戦略的後退 台湾・頼清徳政権は「戦備優先・交渉回避」を続けるのか
台湾・桃園国際空港第三ターミナル、クリスマスに開業 1日平均旅客数は14万人の見通し 「出入国手続きの迅速化」方法を一挙公開
ザカリア氏が警告「米国を再び小さくする」 トランプ流安保戦略が招く孤立の危険 「1920年代の孤立主義と同じ過ち」
中国最新鋭空母「福建艦」と遼寧艦が青島で並び停泊 衛星画像で確認、合同演習の可能性
大阪府・大阪市、副首都実現へ国に要望 「副首都庁合同庁舎」整備を柱に5項目提示
李忠謙コラム:トランプ氏によって、2025年の米国は私たちにとって見知らぬ姿になった
東京都、公式サイト「GO TOKYO Gourmet」を公開 東京の食文化と多彩な魅力を世界へ発信
中国の格闘ロボットが国際大会で優勝 速度ではなく安定性「工学版オリンピック」で16か国を制す
高市首相、官邸でコンテンツ業界と意見交換 「日本のコンテンツ力を世界へ」
台湾民意基金会の世論調査》台湾人は民進党をどう見ているのか 約6割が「清廉ではない」、「独立志向・反共」で高評価も、信頼性に課題
BLACKPINKワールドツアー東京公演を記念! ファナティクス、読売ジャイアンツおよびFC東京とのコラボグッズを発売
上野の森美術館で「シティーハンター大原画展」開催中 喫茶キャッツアイ、2日間限定でクリスマス仕様に 入場者特典も実施
シドニー新年カウントダウン、予定通り実施へ テロ犠牲者を追悼し、平和と包容のメッセージ発信
「命を懸けて時間を稼いだ」台北駅無差別襲撃で市民犠牲 忠烈祠合祀を巡り議論
なぜ中国は日本の利上げに神経質なのか 謝金河氏「日本は正常化、中国は不動産調整の入り口」
台湾に今冬最強クラスの寒気 クリスマス前後に大陸性寒気団接近、各地気温急降下、山岳地帯では降雪の可能性
日本史上最長寿の天皇 約100年ぶりの「生前退位」を選んだ明仁上皇、92歳の誕生日を迎える
トランプ氏、ルイジアナ州知事を「グリーンランド特使」に任命 本人は「米国の一部に」発言、デンマーク反発
なぜ中国の若者は軍隊を選ばなくなったのか 人民解放軍の兵士が直面する現実 長期駐屯、厳格統制、除隊後も見えない将来
「中央アジア+日本」対話、初の首脳会合を東京で開催 東京宣言を採択
台湾出身の起業家が大阪・心斎橋に挑戦 「日本酒ライブラリー・SAKE REPUBLIC」で日本酒の楽しみ方を再定義
特別インタビュー》ノーベル経済学賞マスキン氏が警告 トランプ関税は「最悪の選択肢」 来年の米景気後退を懸念
松任谷由実、「第76回NHK紅白歌合戦」特別企画で出演決定 AI技術で「荒井由実」と現在の歌声が重なる特別ステージ
舞台裏》「大艦巨砲主義」を再びか トランプ米大統領、「トランプ級戦艦」構想を発表、「黄金艦隊」で海の覇権を掲げる
米津玄師、「第76回NHK紅白歌合戦」白組出演決定 劇場版『チェンソーマン レゼ篇』主題歌「IRIS OUT」を初披露
舞台裏》TSMCはなぜ止められなかったのか インテル転職の羅唯仁氏「退職時の行動」に捜査当局も首をかしげた
プリンスグループの34台の高級車が司法オークションに確定!身分不問で入札可能、オークション日程と手順が公開
日本旅行に警戒感、「台湾有事」論が影響か 中国発日本行き46路線が2週間で運休、日中便は大幅減
台北駅無差別襲撃事件、張容疑者の金流に焦点 口座は1つ、家賃8.4万…無職でも犯行準備は可能だったのか 不審送金なし、母親の支援が唯一の収入
メモリ価格が異常高騰「1日1価格」の現実 ゲーム機・スマホも値上げ不可避か、最も影響を受ける層は
ChatGPTにクリスマス限定サプライズ この絵文字を入力すると「プレゼント動画」が再生される、4ステップで体験
日本高校マーチングバンド「オレンジの悪魔」と「エメラルドナイツ」台湾で交流公演 「2025台湾遠征」全日程を完走
高雄に「LaLaport」2026年開業へ 約270店舗と台湾初の「ARTE MUSEUM」導入
阿蘇くまもと空港に多言語対応「OHDr.メディカルサポートステーション」設置
舞台裏》台北駅無差別襲撃事件で国家安全システムに激震 国家安全局、軍の衡山指揮所、憲兵が一斉に動く
論評:「違法判決」か「機能回復」か 台湾・大法官5人が憲訴法改正を違憲、反対意見は「当初から無効」
トランプ2.0『米国国家安全保障戦略』をどう読むか ノーベル経済学者クルーグマン氏「民主を軸にしない外交は中国に余地を与える」
米国株の乱高下は「日常」に AI熱狂とバブル不安が交錯、2026年投資の焦点
米国務長官、対中協力の余地示す 「日本との同盟堅持」も強調 米外交は国益重視へ再調整
張鈞凱コラム:社会を侵食する「無差別殺人」の病的なロジック
「不戦」を語る一方でミサイル攻撃 プーチン氏の平和発言に残る大きな条件
台湾野党、賴清德総統の弾劾手続き開始へ 黄国昌氏「来年5月20日に採決予定」
外国人の日本国籍取得要件を厳格化へ 政府、帰化の居住年数を「5年から原則10年以上」に引き上げ検討
「時代の涙」訪日客の定番Wi-Fi「Wi-Ho!」が年内で台湾サービス終了へ eSIM普及で市場に変化