トップ ニュース 中国の格闘ロボットが国際大会で優勝 速度ではなく安定性「工学版オリンピック」で16か国を制す
中国の格闘ロボットが国際大会で優勝 速度ではなく安定性「工学版オリンピック」で16か国を制す 2025年8月8日、中国北京2025世界ロボット大会初日、1台のヒューマノイドロボットが中国国旗を掲げている。(AP通信)
工学・人工知能・極限環境テストを融合した国際技術競技大会、第2回「未来運動会(Future Games)」が12月17日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開幕した。同大会は「工学版オリンピック」や「ロボット版ワールドカップ」とも称され、世界の技術関係者から注目を集めている。
中でも最も関心を集めた「格闘ロボット」競技では、中国チームが開発した「深海巨鯊3(Shenhai Jusha 3)」が優勝を果たした。米国、ロシア、インドなど16の国・地域から参加したチームを下し、国際的なテクノロジー界で大きな話題となっている。
「工学版オリンピック」開幕 未来運動会が技術競争の新たな舞台に 中国国営メディア の報道によると、第2回未来運動会の格闘ロボット部門には、米国、ロシア、ベラルーシ、インドなどから計16チームが参加した。決勝戦で「深海巨鯊3」は対戦相手を下し、見事優勝を獲得した。
「深海巨鯊3」は重量110キログラム、最高走行速度は時速28キロ、モーター回転数は毎分1万回転に達する。機体および各部品はモジュール化設計が採用されており、故障が発生した場合でも短時間で修復・交換が可能となっている。
中国チームのクラブリーダーである斉文傑氏は、格闘ロボット競技で勝利を左右する重要な要素として「回路の安定性」を挙げた。ロボット同士が衝突する際、瞬間的に電流が急上昇し、システム障害を引き起こすリスクが高いためだという。
このため同チームはサプライヤーと協力し、電流が急上昇した際に即座に抑制するアルゴリズムを開発。電流の突入を制御することで、回路システム全体を安定稼働させる仕組みを実装したと説明している。
テスラの人型ロボットがポップコーンを作る様子。(AP通信)
娯楽を超えた実戦試験 大国の工学力を測る場 中国国営メディアは 、未来運動会 (Future Games) について「娯楽性と観戦性を兼ね備えた競技大会」と位置付ける一方、海外メディアや専門技術媒体は、同大会を「大国が次世代の工学力、アルゴリズム統合力、システム安定性を検証する実験場」と捉えている。象徴的な意味合いは、一般的な競技大会をはるかに超えるという見方が広がっている。
「深海巨鯊3」の本当の強みは速度ではなく、システムの安定性にある。中国国営メディア が公開した技術情報によれば、同機は重量110キログラム、最高速度時速28キロ、毎分1万回転のモーター、迅速な修理を可能にするモジュール設計など、ハードウェア性能は確かに高水準だ。 しかし海外メディアの分析では、これらの数値が優勝の決定要因ではないとされている。真の技術的ブレークスルーは、電力・制御システムにおける「レジリエンス(耐性)設計」にあるという。
2025年8月15日、中国・北京で開催された世界人型ロボット運動会で、1体のロボットが1500メートル走に出場した。(AP通信)
勝因は「火力」ではなく「システム耐性」 複数の国際的な工学系メディアは、格闘ロボット競技における最大の課題は攻撃力ではなく、衝突時に発生する電流スパイク、高負荷状態での回路過熱、制御信号の遅延による暴走リスクだと指摘している。 中国チームは、電流が瞬間的に上昇した際に即座に抑制するアルゴリズムをサプライヤーと共同開発したと明らかにしている。これにより、回路システム全体の安定稼働を確保できるという。この種の技術は、大型産業用ロボット、無人車両、さらには軍事用システムにおいても最も中核となる基盤能力とされる。
海外メディアは、中国の技術競争における語り口が「ハードパワー」重視へと転換しつつある点にも注目している。従来のAIアルゴリズムや単一技術のデモンストレーションとは異なり、近年は「実装可能」「量産可能」「極限環境に耐えうる」工学成果を前面に押し出しているという。 概念や将来構想を強調するのではなく、実際の衝突、実際の損耗下でも機能し続けることを証明する姿勢が、中国の特徴になりつつあると分析されている。
一般の観客にとって「格闘ロボット」は刺激的なテクノロジーショーに映るかもしれない。しかし国際的な分析の視点では、アブダビの競技場は、世界の技術競争の変化を映し出す拡大鏡のような存在だ。 「深海巨鯊3」の優勝が、中国がロボット分野で全面的に優位に立ったことを意味するわけではない。だが一つだけ明確なのは、中国がもはや単なる参加者ではなく、競争の基準そのものを定義し始める段階に入ったという点である。
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