アニコムグループは、2025年10月1日に開院した『JARVISどうぶつ医療センターTokyo』(東京都文京区)において、10月4日にメディア向け内覧会を開催した。ペット保険シェアNo.1(※)のアニコム損害保険株式会社(代表取締役:野田真吾)のグループ会社であるアニコム先進医療研究所株式会社(代表取締役社長:堀江亮)が運営する本施設は、ロボット支援手術など最先端の高度獣医療を提供する新たな中核拠点として注目を集めている。
メディア関係者が多数参加、最先端の医療技術を公開
内覧会当日には多くの報道関係者が訪れ、施設紹介や登壇者によるプレゼンテーション、クロストークなどを通じて、獣医療の未来を変える新技術や構想が紹介された。見学ツアーでは、ガラス張りの手術室やリハビリ室を含む院内設備が公開され、どうぶつと飼い主双方に配慮した空間設計や透明性の高い治療環境が披露された。
「保険×ロボット医療×AI」で高度医療の民主化へ
アニコムホールディングス株式会社の小森伸昭代表取締役は、「小さな体のどうぶつの手術には最高峰の技術が必要ですが、医療が高額化すれば安心は得られません。保険とロボット医療、AIによる“見える化”を組み合わせることで、高度な手術をより安価に提供し、世界中の獣医療をリードしていきたい」と語り、開院の意義と今後のビジョンを明らかにした。
世界初の力覚フィードバック搭載ロボット『Saroa』導入
同センターでは、リバーフィールド株式会社の手術支援ロボット『Saroa(サロア)』を導入。力覚フィードバック機能を搭載した世界初の手術支援ロボットとして注目されている。リバーフィールドの只野耕太郎社長は、「人にもどうぶつにもやさしい医療を目指し、アニコムグループと協力して自動化や効率化をさらに進めていく」と述べた。『Saroa』は人医療用として厚生労働省の承認を受けているが、動物医療分野ではアニコム先進医療研究所の倫理審査を経て、獣医師の専門的判断に基づき適用外使用として運用されている。
AIとロボットがもたらす「獣医療のDX」
クロストークでは、アニコム先進医療研究所の堀江亮社長と、獣医師・最高医療責任者(CMO)の田村勝利氏が登壇。堀江氏は、「獣医療業界は施設ごとにオペレーションが異なり、デジタル化が進みにくい現状があります。しかし、AIやロボット技術の導入により、遠隔診療や地域格差の解消が期待できます」と説明。
田村氏はロボット手術の実践例を紹介し、「手術支援ロボットによって術野が大きく変わり、従来のように骨を切除する必要がなくなりました。これにより、手術後の痛みが軽減され、回復も早まっています」と語り、動物への負担軽減につながる新しい医療の可能性を強調した。
多分野をカバーする高度医療センターとして始動
『JARVISどうぶつ医療センターTokyo』は、循環器、呼吸器、消化器、整形外科、脳神経、泌尿器、歯科口腔外科など幅広い診療領域をカバーし、専門医による高度な診療を提供。併設する研究所では検査機器を活用した研究開発を推進し、予防・早期発見から専門的治療まで一貫した医療体制を構築している。どうぶつと飼い主に「安心と信頼」を届けることを使命とし、次世代の獣医療モデルとしての確立を目指している。
(※)シェアは2024年の契約件数に基づく。株式会社富士経済発行『2025年ペット関連市場マーケティング総覧』調査より。
編集:梅木奈実 (関連記事: 日本、「万能人工血液」を開発 血液型不問で2年間保存可能 2030年の実用化を目指す | 関連記事をもっと読む )
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