ノーベル平和賞発表前夜にトランプ氏が仲介 イスラエル・ハマスの人質交換合意を発表 2年の紛争終結へ、撤退条件は不透明

2025年10月6日、ギリシャ・アテネ国際空港(エレフテリオス・ヴェニゼロス)に到着した活動家たち。ガザ支援船団への参加を理由にイスラエルから追放されていた。(写真/AP通信)
2025年10月6日、ギリシャ・アテネ国際空港(エレフテリオス・ヴェニゼロス)に到着した活動家たち。ガザ支援船団への参加を理由にイスラエルから追放されていた。(写真/AP通信)
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中東の火薬庫に、ようやく一筋の平和の光が差し込んだ。アメリカ大統領トランプ氏は8日夜、自身のSNSで、イスラエルとハマス(Hamas)が協定に合意し、イスラエル人の人質を解放し、パレスチナの囚人と交換することを発表した。この動きは、ガザ地区で2年以上続いた血なまぐさい紛争に終止符を打つ可能性を秘めている。しかし、各国が歓喜する中で、協定の詳細には依然として不透明な部分があり、特にイスラエル軍の撤退については明らかになっていない。

トランプ氏深夜のSNS発表、「歴史的協定」の詳細は不透明

トランプ氏は「これはアラブ諸国とイスラム世界、イスラエル、周辺諸国、そしてアメリカにとって偉大な日だ!」と、自身のSNS「Truth Social」で宣言した。当時、米東海岸では午後7時ごろ、イスラエルでは翌9日午前2時であった。トランプ氏は投稿で、協定の実現に貢献したカタール、エジプト、トルコに特別な感謝を表した。

トランプ氏によると、双方は和平計画の第一段階で合意しており、イスラエル軍が「合意された境界線」まで後退することも含まれる。しかし、この停戦の核心条項はイスラエル政府の最初の声明には触れられておらず、協定の実効性には不透明感が残る。一方、カタールとハマスは、ガザ地区への人道援助物資の受け入れを許可すると表明した。各国間で停戦内容の解釈に微妙な温度差があることも明らかになっている。

協定の詳細は正式には発表されていないが、トランプ氏が以前提示した計画から一部を推測できる。昨年9月下旬、トランプ氏は戦争終結と人質解放のための20項目に及ぶ包括的計画を公表した。この計画では、終身刑に服するパレスチナ人囚人約250人と、戦争中にイスラエルに拘束されたガザ住民1,700人を交換することが盛り込まれていた。関係者によると、人質の解放は早ければ今週末にも行われる可能性があるという。

イスラエルにとって、人質問題は深刻な国の痛みである。約250人のうち生存者は20人程度で、さらに25人の死者の遺体返還も求めている。

ネタニヤフ氏「イスラエルにとって偉大な日」と称賛も、撤退には沈黙

トランプ氏の発表を受け、イスラエルのネタニヤフ氏首相は声明で協定の存在を認め、「全人質が帰国する」と約束し、この日を「イスラエルにとって偉大な日」と称した。9日の日中に政府会議を開き、協定を正式に署名する意向を示した。

しかし、トランプ氏が言及した「撤退」に関して、ネタニヤフ氏は沈黙を守った。さらに、停戦の前提条件としてハマスの武装解除が必要とされるが、今回の声明では触れられなかった。ハマス側はすでにこの要求を拒否しており、恒久的な和平への道で最大の障害となっている。

ハマス側は声明で、トランプ氏および協定の保証人に対し、イスラエルが協定を完全に履行するよう強制することを求めた。ここには、イスラエルの約束遵守への不信感がにじんでいる。

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