ガーディアン紙が警鐘「トランプ2.0時代」は『愚かさの制度化』が進行中 AI全盛でも試されるのは人間の想像力

2025年9月16日、ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウス南庭を出発する前に記者団と語る。(写真/AP通信提供)
2025年9月16日、ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウス南庭を出発する前に記者団と語る。(写真/AP通信提供)
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2006年のSFコメディ『Idiocracy』では、主人公が500年後のアメリカに迷い込み、バカが国家の指導者となっていることに気づく。大統領はテレビスターで、医者は機械に取って代わられ、人々は愚かの極みである。農作物を栽培するのに水を使うことを提案した彼は死刑を宣告される。ガーディアン誌10月2日によると、この荒唐無稽な映画の筋がトランプ2.0時代に実現しつつあるという。トランプ政権は「愚かさを制度化」し、ソーシャルメディアと市場メカニズムがそれをさらに拡大し、政治家の愚かな話を無限ループのミームに変えている。しかし、「愚かな時代」の救世主は急速に発展するAIではなく、人類本来の想像力と判断力である。

「ポスト真実」から「愚かさの時代」へ

2016年、トランプが初めてホワイトハウスに入った頃、米国と欧州連合を離脱したばかりの英国は同時に「真理のパニック」に陥った。ガーディアンは当時を回顧し、偽情報が氾濫し、ロシアのトロール部隊が世論を操作し、報道の専門性と権威が一夜にして崩れ去ったと指摘する。リベラル派は「真理はまだ存在するのか」と声を上げ、オックスフォード英語辞典は「ポスト・トゥルース(post-truth)」を年間語に、メリアム・ウェブスターは「シュール(surreal)」を選出した。さらにトランプ顧問のケリーアン・コンウェイは「オルタナティブ・ファクト(alternative facts)」なる語をひねり出し、虚偽を正当化したのである。

その結果、リベラル派が糾弾していた「フェイクニュース」は、逆にトランプの武器となった。彼は機会さえあればメディアを「フェイクニュース」と攻撃し、MAGA系メディアは虚偽を際限なく増幅した。これは政治哲学者ハンナ・アーレントが『全体主義の起源』(1951年)で述べた「全体主義体制の理想的臣民は、熱心なナチ党員でも共産党員でもなく、真偽を区別できない人々である」という言葉をまさに体現するものである。

2025年になると、焦点は移った。トランプは相変わらず虚偽を口にするが、人々はすでに「嘘」には麻痺し、問題の核心は「愚かさ」だと見定め始めている。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、デービッド・ブルックスは「愚かさの六つの原則」(The Origins of Totalitarianism)を執筆し、政府は「結果を一切顧みない」行動に走っていると痛烈に批判した。ヒラリー・クリントンも「これ以上どれほど愚かになるのか」(How Much Dumber Will This Get?)と題する論考で、彼女を最も悩ませるのは偽善ではなく愚かさだと指摘。マルクス主義の研究者リチャード・シーモアは、ロシアの政治家レフ・トロツキーの言葉「政治が退潮するとき、愚かさが社会の思考を支配する」を引いて論じている。

ガーディアンは、トランプ第二次政権の「極度の愚かさ」を少なくとも三点で列挙する。第一に、調子外れな無能である。たとえば『アトランティック』誌の編集長が、副大統領や国防長官らが参加する米軍行動をめぐる政府高官のグループチャットに「誤って招き入れられた」件である。第二に、有害と知りつつ強行する政策だ。追加関税や医学研究費の削減は、結果として深刻な打撃しかもたらさず、トランプの資金提供者や支持者でさえ利益を得られない。さらに最も常軌を逸しているのが人事である。トランプは反ワクチンの奇人を保健長官に据え、ロバート・F・ケネディ・ジュニアの後押しの下、ユタ州やフロリダ州では水道水へのフッ素添加まで禁じられた。これは人類の進歩に対する挑発である。

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