日本最大級の都市型国際芸術祭「六本木アートナイト2025」が9月26日から28日まで開催され、駐日台湾文化センターは今年も台湾の現代アーティストを招いた。今回は工芸家の范承宗と先住民アーティストの林介文が参加し、六本木の街に台湾の多彩な文化表現をもたらした。
開幕式と主催者の言葉
開幕式は26日夜に行われ、東京都関係者や港区の清家愛区長、国内外の芸術関係者が出席した。主催委員長である森美術館館長・片岡真実氏は次のように挨拶した。
「第14回を迎えた本年は、30組のアーティストによる50以上の展演が街を包み込みます。皆さんにアートの魅力を存分に感じていただきたい」
范承宗《六本木帆城》
范承宗は新作《六本木帆城》(Sailing Castle: Roppongi)を発表。天祖神社を舞台に、東京タワーや国立新美術館など都市のシルエットを取り込んだ木造インスタレーションを設置した。
彼は「都市と船帆の景色を重ね合わせ、時代と空間をつなぐ詩的印象を形にした」と語り、訪れる人々に立ち止まり考える体験を促した。
林介文《紅恐竜》《緑恐竜》
林介文は高さ約3メートルの《紅恐竜》《緑恐竜》を展示。母親としての体験をもとに2人の息子の幼少期をモチーフに、恐竜を「生活秩序に飛び込んでくる存在」として表現した。
編み込みや金属加工を駆使した作品は、子どもの無邪気さや力強さをユーモラスに映し出し、観客に童心を呼び覚ますことを意図している。
台湾側関係者のコメント
駐日代表処の李逸洋大使は「六本木アートナイトは東京を代表する夜間芸術祭であり、台湾のアーティストの参加は国際舞台における文化的存在感を高める。作品を通じて台湾の誠実さと活力を感じてもらいたい」と語った。
文化部の李遠部長も「台湾の国際的な使命は芸術を世界に発信すること。范承宗の工芸的創新、林介文の先住民文化を背景とした表現は、台湾の多元的な文化エネルギーを示すものだ」と強調した。
台湾文化センターの曾鈐龍主任は「これは単なる展覧会ではなく、国境を越えた文化的対話の継続です。東京の街角でふと台湾の作品に出会うことで、観客に驚きと感動を与えたい」と述べた。
開催概要
今年の六本木アートナイトは六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、国立新美術館、商店街などを舞台に展開。林介文の《紅恐竜》《緑恐竜》は10月5日まで展示が延長され、台湾の当代芸術の魅力を引き続き発信する。
編集:梅木奈実 (関連記事: 舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」 全プログラム発表 10月1日開幕へ | 関連記事をもっと読む )
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