放送批評懇談会は9月22日、テレビ部門における「2025年8月度ギャラクシー賞月間賞」を発表した。ギャラクシー賞は今年で63年の歴史を持ち、日本の放送文化の質的向上を目的に、優れた番組や制作者を顕彰するもの。毎月選定される「月間賞」は、年間の最終審査で大賞や優秀賞につながる重要な指標となる。
受賞作品4本を発表
今回受賞したのは以下の4作品である。
- NHKスペシャル「広島グラウンドゼロ 爆心地500m 生存者たちの“原爆”」(NHK)
爆心地から500メートル以内で被爆した78人を追跡調査した記録を紹介。被爆者の肉声が核の惨禍を生々しく伝える証言として高く評価された。 - 戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」(NHK・WOWOW)
被爆者の声を全国で録音し続けた元放送局員の実話をもとに制作。戦争体験の風化が進む中、記録の意義を静かに力強く描き出した。本木雅弘と阿部サダヲの緊迫感ある演技が観客を引き込んだ。 - NNNドキュメント’25「ガマが消える前に 埋もれゆく戦争の記憶」(日本海テレビジョン放送)
沖縄戦の痕跡を残す「ガマ(自然洞窟)」の調査を続ける市民の取り組みを追った作品。地域外からも記憶継承を支える姿勢が光り、選考委員の心を打った。 - テレメンタリー2025 シリーズ戦後80年「軍都80年~ものづくりと防衛産業~」(名古屋テレビ放送)
軍需産業の歴史と現代の防衛産業の転換を名古屋の視点から描いた意欲作。産業の歩みと社会の在り方を問い直す試みが評価された。
「戦後80年」を見据える作品群
今回の受賞作はいずれも「戦後80年」という節目を見据え、歴史の継承や記録の意味を改めて問い直す内容が中心となった。放送批評懇談会は「今後の選考にも注目してほしい」と呼びかけている。
なお、詳細な選評は月刊誌「GALAC」2025年11月号に掲載される予定である。
編集:梅木奈実 (関連記事: 小和田恆氏、戦後80年の日本外交と課題を語る「被害だけでなく加害の視点も必要」 | 関連記事をもっと読む )
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