台湾のインディーズバンド・DSPSが友好バンドのイルカポリス(海豚刑警)とともに展開している「イルカポリス×DSPS tour in Japan 2025」。東京、名古屋、京都、大阪を巡る今回のツアーの2日目公演を控え、DSPSは《風傳媒》の独占取材に応じ、音楽に込める思い、イルカポリスとの友情とコラボレーション、日本の観客への印象、そして今後のアルバムやワンマン公演の展望について率直に語った。

DSPSは台北を拠点とするインディ・ギターポップバンドで、ボーカルの曾稔文さん(Ami)を中心に2014年に結成。細やかなビートと浮遊感のあるメロディを特色とし、これまでに2枚のEPと1枚のアルバムをリリースしている。日本のインディシーンとの交流にも積極的で、HomecomingsやMONO NO AWAREをはじめ多くのバンドと交流を重ね、台湾と日本のインディシーンを繋ぐ存在として注目されている。今回の日本公演では、9月28日に青森県弘前市で行われた「りんご音楽祭」に出演した。

今回のツアーは東京から始まり、名古屋、京都、大阪へと続く。東京公演は2日間にわたり、初日はGuibaとハシリコミーズ、2日目はHomecomingsと共演。名古屋ではTrooper Salute、京都ではCARD、大阪では10月3日に心斎橋Live House ANIMAでハクと共演する予定だ。DSPSにとって、このツアーはイルカポリスとの再共演であると同時に、日本のオーディエンスとさらに深く向き合う機会となっている。

インタビューで曾稔文さんは、まず音楽で伝えたい核心について語った。「伝えたいことは常に変化しています。癒しを与えたい時もあれば、リラックスを届けたい時もあります。最近は特に、聴く人が『自分には力がある』と感じられるような感覚を伝えたい。私たちの音楽を聴きながら、自分自身のことを思い出し、力を見つけたり何かに気付く。そんな体験を届けたいと思っています。」

イルカポリスとの共演については、「価値観は近いのですが、表現の仕方はとても異なります。その違いこそが美しいと感じます」と語る。

ギタリストの詹詠翔さんは「一緒にツアーに出るのは卒業旅行のようです。毎回お互いの演奏を観るたびに新しい発見があります。演奏後に一緒に食事をしたり休んだりすることで、ステージ上の熱気と普段のリラックスした姿とのギャップを楽しめるのも面白いです」と笑顔を見せた。
ドラマーの莊子恆さんは「DSPSだけでは出せない自分の一面を、イルカポリスと一緒だと引き出されます。いわば違う火花を生み出してくれる存在で、それが演奏にも影響し、よりリラックスして楽しめる」と話す。ベーシストの鐘奕安さんは「毎日の演奏が新しい一日です。りんご音楽祭の自然の雰囲気と、昨日の観客との近い距離感は全く異なり、毎日が新鮮で楽しい」と感想を述べた。 (関連記事: 【独占】台湾インディーズ・イルカポリス「日常をそのまま音楽に」 DSPSとの日本ツアー2025で「台湾チーム」の絆を語る | 関連記事をもっと読む )
日本の観客について、曾稔文さんは「文化的な背景が長く、音楽の受け取り方がとても繊細です。台灣のインディ音楽を研究している日本のファンもいて、メンバーのサポート活動まで詳しく知っていて驚かされます。演奏の音場の変化やアレンジの違いについても鋭く指摘してくれる。まるで音楽評論家のように細かく聴いてくれるのです。日本語が拙くても真剣に耳を傾けてくれる姿勢は、自信を与えてくれました」と語った。