台湾のインディーズバンド・イルカポリス(海豚刑警)が、友好バンドのDSPSとともに展開している「イルカポリス×DSPS tour in Japan 2025」。東京、名古屋、京都、大阪を巡るツアーの真っ只中、イルカポリスは《風傳媒》の独占取材に応じ、ユーモアと社会観察を織り交ぜた音楽スタイルの背景、日本公演ならではのエネルギー、DSPSとの友情、そして台湾バンドとしての誇りを語った。

イルカポリスは2017年に結成され、台北を拠点に活動するパンクでポップなインディーロックバンド。バンド名は漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のキャラクター「ドルフィン刑事」に由来する。これまでに2枚のアルバムを発表し、その勢いは止まるところを知らず、今後台湾のインディーシーンを牽引する最注目バンドの一つとされている。現在はボーカルの伍悅さん、ギターの雙馬さん、ベースの鐘奕安さん、ドラマーの何遠哲さんを中心に活動。
作品にはユーモアや社会的観察、自嘲的な要素が込められ、日常の出来事を赤裸々に表現。舞台上では騒がしくも真摯なスタイルで、強烈なライブ感で知られる。これまで台湾や日本の多くのバンドと共演し、インディーシーンで着実に存在感を高めてきた。今回のツアーは東京2公演(Guiba、ハシリコミーズ、Homecomingsと共演)、名古屋のTrooper Salute、京都のCARD、大阪では10月3日に心斎橋Live House ANIMAでハクと共演する。

伍悅さんは自身たちのスタイルについて、「作品やライブは無理に作り込むのではなく、普段の自分たちをそのまま持ち込む。歌詞も本当に起きたことばかりで、赤裸々にさらけ出すことに意味がある。台上と台下の自分が同じであること、それが一番自然で強い表現だと思う」と語る。雙馬さんも「僕たちの音楽は常に自然体。だからこそ独自の色が出るし、それを信じてステージに立っている」と続けた。
ライブパフォーマンスについて、伍悅さんは「昨日の観客との掛け合いは偶然だった。僕たちは普段、観客を煽ったりしないが、ある曲で詹詠翔さん(DSPS)が一緒にやろうと言ってくれて、思い切って観客にジャンプを呼びかけたら、本当に全員がやってくれた。日本の観客はとても協力的で、だからこそ最後まで遊び切ろうと思えた」と振り返った。

さらに、台湾バンドとして日本ツアーに挑む意義について、伍悅さんは「DSPSのライブを見ながら、まるで『台湾チーム』を応援しているような誇らしい気持ちになった。お互いに違うステージで戦いながらも、革命的な仲間意識が生まれている。共に旅をし、様々なハプニングを支え合う中で、一体感が強まっていく」と熱を込めた。

観客の反応についても大きな違いを感じたという。伍悅さんは「日本の観客は耳がとても開かれていて、音や感情を制限なく受け止めてくれる。台湾ではヒット曲を求められることも多いが、日本では僕たちが全力で表現すれば、それを敏感にキャッチしてくれる。だからこそ挑戦が楽しい」と強調。鐘奕安さんも「以前は静かに聴いている印象だったが、今回はディストーションが入った瞬間に声援が飛ぶなど、熱さを感じた」と手応えを語った。

また、曲作りの過程については、「歌詞やメロディを持ち寄り、デモを共有してから全員でジャムしながらアレンジを作る。最近は録音準備のため本格的に編曲を詰めている。洪申豪さんから『自分が次の展開を楽しみにできる編曲が理想だ』とアドバイスを受け、それを意識している」と明かした。
最後に今後の展望について、伍悅さんは「帰国後は新しい作品の録音に取りかかる予定。アルバムになるかEPになるかはまだ未定だが、台湾の音楽フェスや各地のライブにも出演していく。さらに成熟した姿を見せたい」と語り、観客に期待を寄せた。
編集:柄澤南 (関連記事: 【独占】台湾インディーズDSPS、イルカポリスと日本ツアー2025 新アルバム&ワンマン展望を語る | 関連記事をもっと読む )
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