アメリカのトランプ大統領が再び東アジアの同盟国を困惑させている。トランプ氏は先日、ホワイトハウス執務室で海外メディアに対し、自らの関税政策によってアメリカに巨額の収入と投資をもたらしたと主張した。その中で、日本と韓国が総額9,000億ドル(約27兆4,500億台湾ドル)に上る投資を約束したとし、これを「前払い費用」と表現した。この発言が報じられるや、日本と韓国は即座に困惑と不信を示し、両国政府はいずれも「前払いで投資金を拠出することは一切合意していない」と明言した。
ロイター通信によると、すでに通商合意を結んでいる日本と異なり、いまだ交渉段階にある韓国は、トランプ氏の一方的な発言に強い困惑を示した。ソウル当局は当初から、米国への投資額として3,500億ドル(約10兆7,000億台湾ドル)を拠出することを約束したものの、それはトランプ氏が述べたような一括投入ではなく、ましてや前払いを承諾した事実もないと強調している。韓国側にとって、安全保障上の裏付けがないまま米国の過大な要求に応じれば、国内経済を金融危機に追い込む恐れがあるとの懸念が強まっている。
Trump says South Korea, Japan will pay billions 'upfront' in investmenthttps://t.co/cQza5vvFF8https://t.co/cQza5vvFF8
— Reuters (@Reuters)September 26, 2025
“Japan gave us $550 billion. We get 90. They get 10. It’s not a loan or anything. It’s a. It’s uh. Uh signing bonus.” - Trump
— Spencer Hakimian (@SpencerHakimian)July 24, 2025
What?
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韓国政府の匿名高官はロイター通信に対し、トランプ氏の発言は韓国側が理解している米韓通商合意の内容と矛盾していると指摘した。「われわれは一括で資金を拠出することなど一度も考えたことはない。日韓両国の方針は似通っており、米国が資金拠出要請(キャピタルコール)を行った後に資金を提供するという立場だ」と述べた。韓国は今年7月、米国に対し約3,500億ドル(約10兆7,000億台湾ドル)の投資を行うと約束したが、交渉過程で米側が資金の主導権を握ろうとしていることが明らかになり、ソウルの代表団は強い懸念を抱いた。このため、米韓通商交渉は行き詰まりを見せている。
交渉の経緯を振り返ると、米国は先に日本と合意に達し、通商協定に署名した。東京は米国への5,500億ドル(約16兆8,000億台湾ドル)の投資を約束することで、自動車などの輸入関税引き下げを勝ち取った。この成果を得た米国代表団は、その枠組みを韓国にも適用しようと圧力をかけ、ソウル側に同様の譲歩を迫っている。


トランプ氏の一方的な発言は、停滞している米韓通商交渉に対し、市場や投資家の不安を改めて呼び起こした。現在、関係者の間では、このまま交渉が進めば、ソウルが極めて不利な不平等協定を受け入れざるを得なくなるのではないか、さらには最終的にいかなる条件もまとめられない可能性すらあるとの懸念が高まっている。 (関連記事: トランプ大統領、薬品に最大100%関税を発表 日本・欧州・インド製薬大手に直撃 | 関連記事をもっと読む )
メモには記載されていない
韓国の強い反応とは対照的に、日本の政府関係者や担当部局は当初コメントを控えた。しかし各国メディアが米日間で署名された正式な投資覚書を確認したところ、そこには「前払い」という文言は一切盛り込まれていなかった。覚書によれば、関連投資はトランプ氏の現任期が終了する2029年1月までに「随時」実施されると規定されている。また合意内容に基づき、米国側が対象案件を決定した場合、日本は45日以内に資金を拠出する義務を負うことになっている。