東京国際映画祭(TIFF)の併設マーケットとして開催される「TIFFCOM 2025」(10月29日~31日、東京都立産業貿易センター浜松町館)は25日、全20本予定されるセミナーのうち14本の主要ラインナップを発表した。今回の発表では、日本アニメの海外展開や国際共同製作、テレビコンテンツやIPビジネスのグローバル戦略、さらに中国・韓国・タイ・香港などアジア各国の映像最新動向が網羅され、世界の業界関係者が一堂に会して議論を行う。
アジアを代表するコンテンツマーケットへ
22回目を迎えるTIFFCOMは、映画、テレビ、アニメなど幅広いコンテンツホルダーと、各国の有力バイヤーやプロデューサーが集結するアジア有数のビジネス・コンテンツマーケットだ。セミナーに加えて、企画マーケット、ピッチコンテスト、ネットワーキングを通じ、新たな国際共同製作やコンテンツビジネスの機会を創出する場として機能している。
日本アニメと国際的な共同製作
特別セッション「日本のアニメーションの海外展開最前線」(主催:日本動画協会)では、「アニメ産業レポート2025」による2024年の市場規模を初公開。制作会社や製作会社の海外展開事例を紹介し、国内需要と拡大する海外市場に支えられたアニメ産業の成長要因を分析、将来展望を探る。また、香港映画発展局が主催する「アジアのアニメーション:IP、物語、そしてグローバル展開の戦略」では、『マクダル』のサミュエル・チョイ氏や『シュレック』を手掛けたラマン・ホイ監督が登壇し、文化的多様性を背景にしたIP開発や国際共同製作の最新動向を議論する。
テレビ・映画分野での最新動向
テレビ分野では、放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)が共同製作事例を紹介。日本テレビは「日テレ、開国!Gear Up, Go Global」と題してAI技術を活用したグローバル戦略を発表し、TBSも「Inspiring Global Love for Japan」として、Netflix配信の『今際の国のアリス』シーズン3や釜山映画祭出品作『愚か者の身分』など最新成果を報告する。さらに共同製作関連では、VIPOと韓国映画振興委員会(KOFIC)は「日韓Producers Exchange」で両国のインセンティブ制度を紹介する。
映画分野では、韓国『パラサイト』に携わったチェ・ユンヒ氏と日本の河井真也氏が登壇する「国際共同製作のロードマップ」で、世界市場を目指すフィルムメーカーへの指針を示す。デジタルハリウッド大学とモーション・ピクチャー・アソシエーションによるマスタークラスでは、『エルヴィス』のプロデューサー、スカイラー・ワイス氏が制作秘話を語り、若手クリエイターによるピッチコンテストも実施される。
アジア映像市場の最新トレンド
アジアの映像産業にも注目が集まる。「タイBL & GLの魔法」では世界的に人気を集めるタイ発ドラマの制作現場から主要プロデューサーや俳優が登壇。中国・華策影視による「高品質映画・テレビコンテンツ推進カンファレンス」や、トルコのリメイクドラマ市場と日本ドラマの可能性を扱うJETRO主催セミナーも開催される。さらに、上海市主催の「2025上海視聴コンテンツショーケース」では、上海を代表する映像企業が最新作品を発表する。
韓国コンテンツ振興院(KOCCA)による「LG U+ Drama Premiere 2025」では、近未来恋愛ドラマ『ラブフォビア』や青春物語『未来の未来』が紹介され、Kドラマの未来像が語られる。
開催概要
TIFFCOM 2025は10月29日から31日まで浜松町館で開催され、主催は経済産業省、総務省、ユニジャパン。詳細は公式サイト(https://tiffcom.jp)で案内されている。
編集:梅木奈実
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