フィリピン・セブ州で深夜、マグニチュード6.9の強い地震が発生した。現地では多数の建物が倒壊し、少なくとも30人が死亡、多数が負傷した。地震によって広範囲で停電が発生し、住民は暗闇の中を逃げ惑った。その様子はSNSを通じて拡散され続けており、政府当局や救援機関は被害がさらに拡大する恐れがあると警告している。
震央はどこか?規模と地震の特徴
フィリピン当局およびAP通信の報道によると、震央はセブ州ボゴ市の北東約19キロの海域で、規模はM6.9、震源の深さは5〜10キロと推定される。浅発地震のため揺れは特に強く、セブおよび周辺の島々では大きな揺れが観測された。
一部地域では建物の壁が倒壊したり亀裂が生じた。フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)は「強い海流や急激な海面変動が予想される」と警告し、異常波への警戒を呼びかけている。
フィリピンの地震による被害と影響
地方当局によれば、少なくとも31人が死亡し、そのうちボゴ市で14人が犠牲になった。死者数はさらに増える可能性がある。メディニン町では屋根や壁の崩落により12人が死亡した。犠牲者の中には、勤務中だったフィリピン沿岸警備隊の隊員3人と消防士1人が含まれる。
フィリピン赤十字社のリチャード・ゴードン会長は「一部の教会が部分的に倒壊し、複数の学校で避難が行われた」と述べ、この地震を「潜伏型地震」と表現し、その突発性と予兆のなさを強調した。

台湾への影響はあるのか?
米地質調査所(USGS)およびフィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)の観測によると、9月30日にセブ沖でM6.9の地震が発生し、その後も複数の余震が続いている。震央は台湾からおよそ579キロの距離にあり、8月7日にもM6.2の地震が発生してからわずか55日後のことだった。両地域は環太平洋火山帯に属しており、今後の余震や連動地震の懸念が指摘されている。
この点について、中央気象局地震測報センターの前主任・郭鎧紋氏は「今回の強震はフィリピンの断層における横ずれ断層運動によるもの。釈放されたエネルギーは原子爆弾11.3発分に相当するが、震央が台湾から遠いため、台湾に直接的な影響が及ぶことはない。国民は過度に心配する必要はない」と述べた。
フィリピン現場で確認された主な被害
- 建築倒壊:一部の教会や学校施設が損壊した。
- 公共施設の被害:商業施設で火災が発生し、電柱や変圧器が爆発。道路や消防署の壁も崩落した。
- 民家の損壊:多くの住宅で天井や壁が崩れ、住民が閉じ込められたり負傷した。
- 特殊事故:サン・レミヒオ町ではバスケットボール試合中に体育館が倒壊し、少なくとも13人が死亡した。
- 文化財の被害:ダアンバンタヤン町にある歴史的なカトリック教会が損壊した。

フィリピンの住民と観光客が語る恐怖体験
地震直後、多くの住民や外国人観光客がSNSで恐怖の体験を共有した。
ボホール島に滞在していた中国人旅行者は、
「その時ちょうど雷雨があり、大きな雷鳴が轟いていた……地震だと気付いた瞬間、皆が一斉に外へ逃げ出した。『九死に一生』という感覚だった」と語った。
また、別の旅行者は、
「セブのセブンイレブンで買い物をしていたら突然棚が揺れ出した。店の外へ走り出ると、空から大きな爆発音が聞こえた。高圧電線が地震で破裂した音だった」と証言した。
今回フィリピン・セブ地震の国際社会が注目するポイント
フィリピンは「環太平洋火山帯」に位置し、地震が頻発する地域である。今回の震央は台湾から約579キロの距離にあり、強度の高さと震源の浅さから、台湾南東部や周辺海域への連動地震の可能性が懸念されている。
当局は「直ちに津波の脅威はない」としているが、フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)は「異常な高波に警戒すべき」と注意を呼びかけている。
セブ州知事のパメラ・バリクワロ氏は自身のフェイスブックで、
「状況は私たちが想像している以上に深刻かもしれない」と述べ、被害の拡大に強い懸念を示した。
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編集:梅木奈実
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