台湾港務股份有限公司は、アジアのクルーズ市場における台湾港の認知度向上を図るため、国際クルーズ事業者との連携を積極的に拡大している。なかでもカーニバル・コーポレーション傘下のプリンセス・クルーズを重点的なマーケティング対象に位置づけている。今回招へいしたカーニバル・ジャパンの堀川覚社長と、プリンセス・クルーズの港湾オペレーションディレクターである鈴木宇夢氏は、いずれも航路計画に直接的な決定権を有する上級幹部であり、その来訪は今後の航路展開に大きな意義を持つものである。
クルーズ観光の推進に向け、同社は本年の「シートレード・クルーズ・グローバル(マイアミ)」期間中、観光署と連携して台湾のクルーズ港を積極的にプロモーションした。その過程で、プリンセス・クルーズが2027年に「サファイア・プリンセス」をアジア市場に新たに配船する計画が判明した。これを受け、台湾港務股份有限公司の王錦榮総経理は5月および8月に東京のプリンセス・クルーズ日本チームを相次いで表敬し、台湾での現地視察を正式に招請したものである。
船隊の拡充に伴い、多様な寄港地への需要は必然的に高まる。本行程では、プリンセス・クルーズのチームが基隆、高雄、台中、澎湖、台南などの港湾施設と受け入れ能力を現地で評価し、周辺の観光資源への理解を深めた。将来、より多くの台湾の港を航路計画に組み込むための基盤を築くことが目的である。
プリンセス・クルーズは長年にわたりアジア市場を開拓しており、現在は「ダイヤモンド・プリンセス」が日本を母港として運航している。今後は北東アジア航路の一層の多様化を図る方針である。2027年に「サファイア・プリンセス」がアジア船隊に復帰することで、運航はさらに多彩になる見通しである。台湾港務股份有限公司は、従来は日本発の同社クルーズが基隆港を主な寄港地としてきたが、台湾港群の他港も設備が充実し国際競争力を備えていると指摘。今回の視察を機に各港と周辺観光資源への理解を深め、より多くの台湾港を航路計画に組み入れることを期待するとしている。
港湾と観光資源を統合、部門横断のマーケティング相乗効果を発揮
台湾港務股份有限公司の王錦榮総経理は、今回の現地視察(ファムツアー)が円滑に実施できた要因として、同社と交通部観光署の連携を挙げた。港湾と観光資源を一体的に統合し、部門横断のマーケティング効果を発揮したためである。港務公司は港湾施設のキャパシティと専門的な受入体制を示し、観光署は地域文化と観光の魅力を訴求することで、総合的なプロモーション枠組みを構築した。これにより、台湾の国際クルーズ事業者に対する吸引力は一段と高まったとする。
同社は今後、「台湾クルーズ・ブランドの確立」を目標に掲げ、国際的な認知度を継続的に高める方針である。あわせて台湾を北東アジアのクルーズ航路における重要拠点として位置づけ、路線網の拡充を推進する考えである。
編集:柄澤南 (関連記事: 新クルーズ船「三井オーシャンサクラ」 2026年後半に就航へ | 関連記事をもっと読む )
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